「2013桜見物(2)」

 

 2013桜見物第二弾!っていうよりも、当初の予定ではこちらが本命。
 今年の桜の開花がだいぶ早くなるとのニュースを見て、急遽組んだのが第一弾。
 という訳で、予定通りの日にちの行動となったのだが、すでにだいぶ花が散ってしまっている情報を得ていたので、余り期待せずに臨んだ。
 場所は西京区南部。今回は歩きじゃなくて、レンタサイクル!ママチャリでゴー!

 

大原野神社

 まず訪れたのは大原野神社。
 鳥居脇の桜、またそれに続く参道の桜もすでに花を散らせてしまっていた。やはり、今年は完全に遅かったか。
 ところがだ、本殿に近付くに従ってなにやら凄い人だかり。そして、境内の一部には紅白の幕が張られ・・・その中心にあったのが写真の『千眼桜』だったのだが・・・まぁ、その周囲をびっしりとシートを敷いて花見に盛り上がる人々の姿が。どうも、何かのイベント?だったらしく。まぁ、簡単にいえば、関係者ではない人間からすると最悪な日に出くわしてしまった訳で。
 さくっと『千眼桜』だけ撮影し、さっさと立ち去る。『千眼桜』は緑もだいぶ目立ってきていたが、それでもまだ多くの花を残していたので、もう少しじっくりと鑑賞したかっただけに、日取りの不運は致命的だった。

大原野神社ホームページ⇒http://oharano-jinja.jp/

 

正法寺

 さっさと大原野神社を出た足で、向かいにある正法寺へ。
 境内へと渡る橋の上を覆いかぶさるように桜の枝が伸びていたのだが、こちらもすでに花の姿はなく。ああ、おしいねぇ、と思いつつ、正法寺の桜の情報は皆無だったので本来は引き返すつもりだったのだが、まぁ、せっかくだからと境内の奥に歩を進めたところ――桜、あるじゃないですか!散り始めているとはいえ、まだまだ華麗な姿を見せてくれていた。
 更に折角だからと拝観料を支払い建物内部へ。頂いたパンフレットによれば、正法寺には『鳥獣の庭』と呼ばれる多くの動物を見たてた岩が置かれた庭園があるそうで、その中心には紅枝垂桜が植えられていて――おお、まだなんとか残っていてくれた!(写真下部)更に、その奥には東山連峰が霞む眺望。とある男性がこの光景を一目見て「極楽、極楽」と呟いていたが――極楽は違うだろう、と否定しつつも――なんとなくその感動を共感することができた。
 そして奇跡の瞬間!それほど観光客の姿自体多くはなかったのだが、庭園に一人きりに!その時間は長くはなかったが、もう、のーんびりとさせて頂きました。味わうって、こういうことだな~と。

 予想をしていなかった分、感動が増したという側面もあるだろうが、結構な満足感を抱く結果となった。今後は要チェックしたいところだ。

正法寺ホームページ⇒http://www.kyoto-shoboji.com/

 

勝持寺

 正法寺を出た後、訪れたのは今回の見物のメインとして考えていた勝持寺。中でも注目は『西行桜』だったのだが・・・完全に緑の葉桜となってしまっていた(写真上部)。更に他の境内の桜もことごとく花を散り終えた感じで、メインがとんだ空振りに終わったかと諦め気分で境内を奥へと進んでいたが、境内の奥に、なんとか二本の桜がまだ花の残して綺麗な姿を保っていてくれた。おお、待っていてくれたか!と勝手に思い感動する。
 幸い、澱んでいた空もこの頃から晴れ渡り、なんとも清々しい気分となった。

 それにしても、今回は例年勝持寺の桜が満開になる頃を見計らって計画を立てていたのだが、今年は余りにも開花が早すぎたようだ。

勝持寺ホームページ⇒http://www.shoujiji.jp/

 

金蔵寺

 勝持寺を出て、さぁ次は金蔵寺に向かおうと勇んでママチャリのペダルを漕いだのだが・・・ここから、この日の悪夢は始まったといえる。
 金蔵寺があるのは山の中。地図で見ても、それは承知していた。しかしだ、特に根拠もなく自転車で行けると思っちゃってたんだなぁ、これが。
 で、結果。無理です。日頃から鍛えている人ならいざ知らず、せめて二十代の頃ならいざ知らず――無理です。蛇行する坂道を、途中までは頑張って自転車を漕いで登ったが、無理です。後はひたすら自転車を押して歩いた。途中、追い越して行った車は一台。静かな山道に響くのは、ひたすら自分の荒い呼吸。
 そんな苦労の末、ようやく辿り着いた!と思ったら、金蔵寺が所有する霊園で、本堂までは後900メートルの案内版が。心が折れた。とりあえず、霊園に自転車を放棄。後は歩いて登る。途中、ハイキング用の金蔵寺への近道があったので、そっちを選択。なんとか辿り着いた。ひんやりとした山の空気の中、なぜか汗だくな自分にげんなり。

 さて、金蔵寺までの行程はさておき、金蔵寺に桜の情報はないままに訪れたのだが、数は少ないまでも、まだ数本の桜がなんとか美しい姿の残しておいてくれた。特に寺務所近くにあった桜(写真上部)は、疲弊仕切った心を癒してくれた。
 その桜の下で、おにぎりを頬張りつつ、なんとか体力の回復も図る。携帯でメールでもしようとしたら、おお、圏外だった。。。

 自分が境内にいる間、一般と観光客と思わしき姿は一人もいなかった。境内を通り過ぎるのは、ハイキング姿の人々。どうも、裏山が登山口となっているようで、おじ様、おば様方が元気な姿で歩いていらっしゃった。
 まっ、自転車で訪れる場所ではないことは明らかなようだ。。。

京都にての地図(googleマップ)

 

大歳神社

 金蔵寺出たらハイキングコースを辿り、自転車を置いた霊園へ。自転車にまたがり、坂道を滑走(もちろん安全に注意しつつ)!気持ちいい!ゆずの夏色を思わず口ずさんでしまうのは世代故。この長い長い下り坂を~♪

 次に訪れたのは大歳神社。広くない境内に桜は二本。それぞれ、すでに散り始まっており、見る者に満足を与えるような姿は保っていたなかった。

京都にての地図(googleマップ)

 

善峯寺

 大歳神社を出て、次に向かうのは善峯寺。一応、桜でも有名らしいのだが、実際どんな感じなのか情報はないままに向かう。
 そして、その行程は金蔵寺の二の舞。金蔵寺の時よりも早々に自転車を放棄。二キロ以上の坂道をひたすら登っていく。
 ようやく辿り着く。金蔵寺の時よりも疲労度は更に増していた。

 善峯寺といえば、日本一の長さを誇る『遊龍の松』が有名だが、『遊龍の松』がある経堂横に、JR東海のポスターにも使われた『桂昌院しだれ桜』があるのだが、残念ながら時期が過ぎてしまっていた。その他、境内には多く桜の木を見る事ができたが、すでに花を散らしてしまっていたものが多かった。
 まだ花を残していたのは桜・あじさい苑と名付けられた場所の数本(写真上部)と、釈迦堂横の桜(写真下部)をはじめとする、本当に数本だった。それでも、釈迦堂横の桜は、眺望の効く位置に植えられており、例えるならば『空中庭園の桜』といった態で青空をバックにした姿がとても美しかった。

 残念ながら訪れたこの日は、すでに最盛期を過ぎており目に止まる桜も少なかったが、花を散らした桜の木の数は多く、最盛期に訪れたならばどれほどに目を楽しませてくれただろう、と思えた。きっと、名所の名に相応しい桜の景観を見せてくれる場所なのだろう。

善峯寺ホームページ⇒http://www.yoshiminedera.com/

 

三鈷寺

 善峯寺を出て坂道を下っていく途中に、三鈷寺への入り口がある。紹介版には10分程度とあったので、最後の力を振り絞って挑んだのだが、これまた山道をひたすら登る状態で、本当にきつかった。

 なんとか辿り着いた三鈷寺。さっ、桜はあるかえぇ~、と本堂を裏手に回ってみると、ようやく一本の桜の木が。しかし、やはりすでに花の大部分を散らしてしまった状態で・・・さぁ、帰ろう。

京都にての地図(googleマップ)

 

十輪寺

 この日、最後に立ち寄ったのは十輪寺。
 時間もだいぶ迫っていたので、早く拝観料を支払い境内を一回りしようと思っていたのだが、出ていらっしゃったのは、恐らく住職の方だと思われるが、おもむろにお寺のお話を始められた。それがまた、知っている内容だったので早く切り抜けたかったのだが・・・どういう筋道を辿ったかは詳細には忘れてしまったが、なんやかんやで話し込んでしまった。金蔵寺の知らなかった話も伺えたりしたのだが、主な内容は「桜はすでに散ってしまったが、心の中に満開の桜を描くような、心の豊かさを感じて頂きたい」とのことだった。なるほど、おっしゃらんとすることは分かります。でも、なにやらすでにお寺の方が片付けは始めていらっしゃいますが?
 と、有難いお話を伺った上で、足早に境内を探索する。桜のメインは『三方普感庭』と名付けられた中庭に植えられたシダレザクラなのだが、写真の通りに葉桜となっていた。なんでも今年は3月19日には開花したそうで、更には鳥害にもあったらしく、お寺の方が枝先に僅かに残った花を指しては「まだ頑張っている」と嬉しそうに話していたのが印象的だった。
 色々なお話が伺えたので、来年には満開になった桜を見てみたいという思いになった。

京都にての地図(googleマップ)

 

 以上が2013桜見物第二弾ということで。
 そして勝手にランキング!
 一位は善峯寺。今回は時期を逃してしまったが、桜の本数からすると秘めているポテンシャルはやはり名所の名にふさわしいのだろうと思う。
 二位は正法寺。色々な要因が重なったのもあるのだが、今回一番の当たりだったかな、と思えた。眺望の効く背景という演出も、また桜を引き立てるものだと思った。
 三位は勝持寺。やはり時期は逃していたが、桜の本数は見る者を楽しませるに充分なポテンシャルを持っているだろう。それに、西行という名のブランドは、やはり一見の価値があるように思えてしまう。

 総じて、やはり今年は開花が早すぎたのだという感想。
 また、十輪寺の方もおっしゃっており、更に勝持寺のサイトでも言及されていたが、どうも今年は鳥害が酷かったようだ。まぁ、鳥に風情を知れ!と説教したところで仕方ないことなので、どうしようもないのだが、圧倒されるような光景を望んでしまう人間としては、残念な話だ。
 しかし、鳥害もあり、時期も外れたとはいえ、要所要所に美しき桜の姿を見れたことは、とても嬉しかった。

 

 それにしても――教訓。
 安易に山に自転車(特にママチャリ)で挑むのは止めましょう。
 私は止めます。。。

(2013/04/14)

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