<鳩居堂のお香
(フローラルミント)>
<店舗名:鳩居堂>
<価格(税別):800円>
普段、生活の中に香りを『加える』習慣はない。
芳香剤を置くでもなく、臭い消しは専ら無香タイプ。
人間の精神状態に及ぼす香りの効能について聞きかじりはしても、なるほどと思うだけ。
料理――では、調味料や香草を使うことはあるので、香りを加えているといえば、加えているか。
ただ、必要以上になくても困らないもの。それが個人的な香りの存在価値。
かといって、興味がまったくないという訳ではない。
鳩居堂を訪れる機会があったので、折角だからお香でも買ってみようか、と思った。
鳩居堂ではお香ばかりではなく、線香、にほひ袋、果ては香道の香木まで販売していた。どれも中々なお値段で。。。
お香の種類も豊富だ。香りはもとより、形状にも種類がある。スティック、コーン、うずまき。
とりあえずお試しなので、形状はスティックに絞る。後は香りとお値段。
ミントは好きだ。春先の花粉の頃にはお茶としてお世話になる。サンプルの香りを嗅いでみる。うーん、爽やかな香りだが、余りミントらしさを感じない。こんなものなのかな?それとも、たいたら違うのかな?試してみないとなんともいえないが、お値段も相対的にお手頃。
という訳で、王道だろうが邪道だろうか知ったこっちゃないと、個人的な許容される価値基準によってフローラルミントを購入してみた。
早速、たいてみる。
考えてみたら、火を点ける道具さえなかったので、ガスコンロの火で点火。
煙が立つ。漂う香りは・・・うーん、煙のせいなのか、すっきりしない。ミント、という言葉からイメージするような、期待したのはミントティーから漂うような清涼感だったのだが・・・理想とのギャップを埋めることはできなかった。なので、初日の感想としては、どうもいまいちだった。
1箱に20本のスティックが入っているので、翌日からも懲りずにたいてみた。すると、次第に期待や先入観が和らぎ、なるほどお香の香りというのはこういうものなのだな、と思うにつけ、香りの爽やかさを楽しめるようになった。
数日経つ頃には、お香をたくのが一日のちょっとした楽しみとなった。
正直、香りの調合の善し悪しを計る基準は自分の中に持っていない。たまたま寄ったのが鳩居堂だったというだけで、鳩居堂のお香のここが良い!と言える根拠はまったくない。
それでも、1663年(寛文3年)の創業から今に続いているという既成事実だけを考えてみても、多くの人々に評価され愛されてきたということは、品質の良さを表す一つの基準となるだろう。
香りを『加えた』日常生活。
あってもいいかな、と思わせてくれた。