淡雪awayuki(抹茶宇治金時)

<淡雪awayuki(抹茶宇治金時)>

<店舗名:祇園NITI>
<価格(税込):1200円>

 

 かき氷といえば、自宅で作るか、もしくはお祭りの屋台、もしくは駄菓子屋さんとか、かき氷機を置いて『氷』の幟を掲げているお店のシンプルな涼味のかき氷。
 個人的に「かき氷を食べたい!」と意識したことはなく、ただなんとなく夏になると普段はアイスであったところがかき氷に変わる、といった程度の意識しかない。
 なので、最近になってかき氷を売りにした店舗が増えてきている現状に、若干の違和感を覚えていた。
 所詮、かき氷でしょ?
 氷削って、シロップかけて終わりでしょ?
 なにを畏まりますかね。
 そんな前時代的なかき氷の認識しかない人間が、この度、ついに現代のかき氷というものに遭遇した。
 祇園NITI。その名も『淡雪awayuki』

 味は「抹茶宇治金時」と「ミルク金時珈琲添え」。それと季節の果実ということで、訪れた日は「スイカ」と「キウイ」だった。
 ここは、京都は祇園。ならば抹茶でしょう、と『抹茶宇治金時』を注文。
 運ばれてきたかき氷は、目一杯の山盛り。ただ、深緑のうず高く盛られた氷は見た目にとても軽そうで、氷の密度の薄さ故か、少し置いておくだけで冷房の効いている店舗の室温ででさえ溶けていってしまう。これは早く食べなければ。
 見た目の深緑ほどに抹茶の香りはしない。スプーンを差し込む。おっと、氷の抵抗が経験上知っているかき氷のそれと違う。
 一口。おお、ふわふわとしている。口の中に入れれば、あっという間に溶けていく。なるほど、淡雪か。個人的に知っているかき氷といえば、削っては固め、削っては固めて氷を盛り上げていくイメージで、故にその食感はガリゴリ、もしくはジャリジャリというものだったが、この淡雪は歯応えを残さずに舌の上ですーっと溶けていってしまう。ははーん、なるほど、この口溶けが売りなんだな。
 そして氷に掛けられたシロップは、商品名通り強い抹茶の風味。氷の水分に負けない直接的な濃い味がする。
 上部の氷を掘り下げていくと、底にチーズ?のような風味のする生クリームがドーム状になっていて、その下に金時豆が詰まっている。抹茶一辺倒だった風味がここで変化する。生クリームと金時豆の風味が抹茶に溶け込む。
 最後の方になると氷は溶けてスープのようになる。底に溜まった金時豆を掻き出しながら、最後は器を傾けて飲み干す。うーん、最後も抹茶。
 なるほど、美味しかった。

 このかき氷に使われている氷は、栃木県日光の氷職人、四代目徳次郎という方が作る天然氷(天然の寒さで凍らせた氷)だそうだ。雪のように軽く、口溶けが良いことが特徴だそうだ。
 なるほど、かき氷の本質は氷そのものであり、味や見た目よりも氷そのものの食感にこそ善し悪しが求められるのだろう。故に特別な氷を利用し、削り方、盛り方に工夫を凝らして特別な食感を生み出すことでこそ、一般的なかき氷との差別化を図りメインの一品として提供するに至っているのだろう。
 たかがかき氷と侮っていたが、何事も突き詰めれば進化を見せるものだ。
 京都祇園で進化のかき氷。
 涼味一服、扇子を置く。

(2016/07/28)

祇園NITIホームページ⇒http://www.gion-niti.com/

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