<あんdeケーキ(ちーず)>
<店舗名:都松庵>
<価格(税込):1300円>
ケーキといえば、生地は小麦粉で作られているという先入観がある。
現に、小麦粉で作られていないことが売り文句になっているケーキを最近見掛ける。ということは、一般的な認識としても、小麦粉以外で生地を作ったケーキは珍しいということなのだろう。
生餡(豆(原材料には白隠元豆とある)の皮を除き、中身を漉したもの)をベースにした生地で作ったチーズケーキ。
一目見て珍しさに心が動いてしまった。
封を開けると、まぁ、見事なキツネ色の焼き加減。チーズケーキならばさもあろう色合いだが、これが餡をベースにできているとなると、よく似せたな、などとあくまでも通常のチーズケーキ(小麦粉を使用したという意味での)を基準にしてしまい、まるで偽物のような扱いをしそうになるが、いや違う。これは新しいジャンルのチーズケーキだ。真偽で図るものではない、と考えを改める。
純粋に「美味そうな色だ」と思う。
香りはチーズが前面に出ている。その中で、どれどれ餡の香りがするかな?と意識して探してみると、なるほど餡の香りが確かに混ざっている。良い香りだ。
では、頂く。
口に入れた瞬間の食感は、通常よく口にするベイクドチーズケーキよりもポロポロした感じ。パサついているのとは違う。これが生餡をベースにした生地の特徴なのか。現に口に含み咀嚼すると、すぐにしっとりと滑らかになってくる。舌触りも滑らかだ。なるほど、面白い食感。
そして風味は、チーズケーキであるが故にチーズが全面に出ているが、隠れたところにはちゃんと餡がいた。また、生地に散りばめられた大納言かのこが隠れがちな餡の風味を補完し後押ししている。
なるほど、これまた面白い風味。そしてチーズと餡が混ざり合った風味は、あっさりとした中にもクリーミーさが好ましい。
これはこれで全然ありだな、と思える美味しさを感じた。
都松庵は製餡を生業とする都製餡の小売り部門としてオープンしたのだそうだ。近年は若年層を中心に和菓子離れの傾向にあるようなので、製餡を生業とする以上、その問題と正面から向かいあう必要性から誕生したものだろう。
コンセプトは和菓子屋でも洋菓子屋でもない<あんこカフェ>だそうだ。
なるほど、それで『あんdeケーキ(ちーず)』という商品が生まれたか。
ん?ってことは、上記で散々チーズケーキと書いてしまったが、店のコンセプトからするとこの商品はあくまでも餡で作ったチーズケーキ、ではなく<チーズ風味の餡ケーキ>と呼ぶのが正しいのか。
主役は、あくまでも『餡』でなくてはならない。
これは失礼しました。そして、なるほど新しい。
製餡を生業としてきた強みをしっかりと活かした一品だ。
同店別商品:あんdeクッキー(プレーン)/黒コショウクッキー