チョコレート・ヒル

<チョコレート・ヒル>

<店舗名:Dari K>
<価格(税込):1620円>

 

 初めて『Dari K』の名を見知ったのは、亀屋良長の『焼きカカオ』を購入した時のこと。
 焼きカカオで使用されているカカオ豆の皮が『Dari K』からの提供とあったからだ。その時は「へぇ~、そんなお店があるんだ」程度だったが、段々とメディアでも取り上げられるようになり、目にする機会が増えてくると気になる存在となってきた。
 『Dari K』の特徴は、チョコレートの原材料となるカカオをインドネシア産に拘っているところだ。拘っているどころか、インドネシアでのカカオ豆の生産から、チョコレート製造までを一貫して行っている。
 今回、ようやく訪れる機会を得た。
 普通のチョコレートを買うのもいいが・・・どうせ買うなら、よし、新作を!
 そんな訳で『チョコレート・ヒル』なる商品を購入してみた。

 見た目。その形状は・・・餡パンとか、肉まんっぽい?
 Dari Kのサイトによれば、フィリピンのセブ島にほど近いボホール島に緩い円錐の形をした丘が沢山あるエリアがあり、乾季になると木々の葉が枯れて茶色くなり、カカオ栽培が盛んな地域でもあり「Chocolate Hills」と呼ばれているそうで、そこからのインスピレーションだという。なるほど、餡パン・肉まんの丘ではなく、あくまでもチョコレート・ヒル。
 香りは・・・と鼻を近づけた途端に、おお、チョコレートの濃厚な香り。うん、実に濃厚。
 では、早速頂く。
 その食感は、ケーキ?というよりも、生チョコレートのようなみっちり、しっとりとした感じ。出た!『あんdeケーキ(ちーず)』でも書いた、最近よく目にする「小麦粉未使用」。更に商品に添付されていた説明書きには「スチームで蒸し上げる特別な製法で――」とある。スチームで蒸し上げることによってどのような効果があるのか素人にはいまいちわからないが、それでもこの独特な食感は様々な工夫によって生み出されているのだな、と、とりあえず納得する。また良く見ると、ナッツかな?と思うような粒が入っており、そのつもりで口にしてみるがナッツではない。最初に軽い硬度の抵抗は感じるが、すぐに周りの生地と同じように舌触り滑らかに溶けていってしまう?何だろう?と説明書きを改めて見ると「――スチームで蒸し上げる特別な製法ですので、その性質上、カカオや乳の油脂分が生地の中に点在することが御座います。」とあった。なるほど、これか!製法上の副産物。ただ、これはこれで舌触りに一瞬でも変化をもたらす効果があるところが面白い。
 そして肝心の風味はといえば、実に濃厚なチョコレート。ケーキというよりも、やはりチョコレートに限りなく近いという感想。チョコレートでないところを探せば、牛乳・卵・クリーム・バターが含まれている分、クリーミーさを覚えるところだろうか。
 一般のケーキにはない、食感・風味の重量感が安易な「美味しい!」を、阻む。
 じっくりと味わい・・・・・・・・・(細かく頷きながら)うん、美味しい、と静かに呟いてみたりする。

 カカオ豆というと、アフリカや中南米を思い浮かべる。日本でカカオの産地といえばガーナが有名だろう。
 2014年の生産量でいうと、インドネシアはそのガーナに次ぐ世界第3位の生産量を誇っている(ちなみに1位はコートジボアール)。
 同じアジア。輸送コストなどを考えたらガーナよりもインドネシア産のカカオがもっと日本で有名でもいいようなものだが・・・。
 インドネシア産カカオが日本でなかなか取り扱われない理由。それは品質にあるそうだ。カカオの品種にも左右されるが、それ以上にカカオの品質を高める重要なポイントが発酵なのだという。その発酵の善し悪しいかんによって産地の評価が分かれ、インドネシアではそもそも発酵を行わないか、もしくは発酵させたとしても質の良くないものが多かったそうだ。
 Dari Kでは、あえてそのインドネシア産のカカオを使用している。もちろん、質の良いチョコレートを作る為に質のよいカカオを生産する為、インドネシアのカカオ生産者に発酵技術を教え、共に質の良いカカオ豆の生産に励んでいるという。

 とことんインドネシア産カカオに拘り、材料から製造まで一貫してアジア圏内で作られたDari Kのアジアンチョコレート。
 『チョコレート・ヒル』。その姿は、さながらアジアンチョコレートの象徴的な原風景。

(2016/08/11)

Dari Kホームページ⇒http://www.dari-k.com/

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