<宇治抹茶ミルクジャム/深煎りきな粉ミルクジャム>
<店舗名:吉祥菓寮>
<価格(税込):各756円>
都市別のパン消費量が全国1位と言われる京都市。さぞや、その関連商品も多彩なのであろう。
例えばジャム。
ジャムといえば、特に食パンと呼ばれるものの、更に言えば簡単にトーストしたものを食べようとした時のお供。もちろんサンドにしても良いのだが・・・ここは個人的な習慣で語らしてもらう。
ジャムとは、マーガリン、もしくはバターだけを塗っただけのトーストにカラフルな見た目と味わいを加えてくれるもの。一般的には果物で作られたジャムが多いように思われ、個人的には苺ジャムが最も馴染み深いのだが、パン消費量全国1位の京都市ではどのようなジャムが製造されているのであろうか。
吉祥菓寮にて数種のジャムを前に悩む。そして――京都といえば抹茶でしょう!そして吉祥菓寮といえば、きな粉でしょう!(※『きな粉玉』参照)
という基準で『宇治抹茶ミルクジャム』『深煎りきな粉ミルクジャム』を買ってみた。普段使ったことのない系統のジャムなので、若干のドキドキを覚えつつ試してみる。
ビンの外側からの、見た目からして共に濃厚そう。
では、まず抹茶から封を開けてみる。ん?想像していたよりも抹茶の香りが一番には来ない。どちらかというとミルク感が強く、抹茶はその中に包まれてしまって薄らいでいる感じ。
続いてきな粉。うん、こちらは「きな粉!」というしっかりとした香り。完全にミルクを押しのけている。
では、頂く。まずは共にそのまま味わってみる。
舌触りは共にねっとりと、濃厚に。
風味はといえば、まず抹茶。おお、鼻で嗅いだ香りでは隠れていた抹茶が、舌の上ではしっかりと香り、独特の苦みと風味を活かしつつ、ミルク風味と上手に溶け込んでいる。なるほど、これが抹茶のジャムか。
続いてきな粉。ん?香りとは一転。きな粉が随分と大人しく感じる。まぁ、そもそもが抹茶と比べると独特の強い風味を持っている訳ではないから仕方ないのだろうが、若干個性死んじゃってるなぁ~、という感想を抱いた。
最後に、それぞれをトーストに塗って食べてみる。
まず抹茶。おや?どういうことだ?そのまま味わった時は抹茶の風味が強かったのだが、ミルク風味を強く感じる。まずミルク風味を感じながら、じわりと抹茶の風味が広がるよう。鼻で香りを嗅いだ時の印象に戻ったようだ。
ん?どういうことだ?
とりあえず、続いてきな粉を。おやおや?きな粉の風味がしっかりと出てきている。がっつりきな粉。こちらもまた、香りの印象に戻ったみたいだ。
そのまま口にした時と、トーストに塗った時の印象が変わるのは・・・当然、トーストの影響だろうなぁ。考えられるのは、パンに使用されている小麦の風味との相性か。それと、トーストしたことによる熱が影響しているのだろうか。
まぁ、原因は不明だが、共に美味しいのは間違いない。
どちらが好みかと訊かれれば・・・きな粉かな。ジャムの本分であるトーストに塗った時の風味でいえば、きな粉の方がパンとの相性も良く、好ましくもあったので。
歴史と伝統の都市、京都市がパンの都市別消費量が全国1位というのにはちょっとした違和感を覚えるが、ただ考えてみれば、明治維新により実質的な遷都が行われ、それに伴う経済的な地盤沈下を防ごうと積極的に西洋の技術、文化を取り入れた京都市の取り組みが、市民に浸透し今も名残をとどめていると考えれば、なるほどと頷ける。
パンが普及すれば、お供のジャムもまた普及しただろう。
得てして、地元の方は普通の果物ジャムを使っていたりするものだろうが、外から見た「京都のジャム」というイメージを想起しようとすれば、やはり抹茶やきな粉はいかにも京都らしさを抱かせる。
という訳で、王道、京都らしいジャム。
普通のトーストも、これで京風トーストになる。かな?
同店別商品:きな粉玉