京テリーヌ

<京テリーヌ>

<店舗名:New Standard Chocolate kyoto by久遠>
<価格(税込):1058円>

 

 「もっとピュアチョコレート」
 と、New Standard Chocolate kyoto by久遠の店頭を訪れると、左手の壁面に 白字で大きく書かれている。
 ピュアなチョコレートとは?
 一般的に多く流通している大量生産のチョコレートには、なめらかで艶のあるものにする為に沢山の油を混ぜているのだという。そういった油(添加物や不純物)を一切入れないチョコレートを目指す、それが「ピュアチョコレート」なのだそうだ。
 そんな京都で作られたピュアなテリーヌチョコレート。名付けて『京テリーヌ』。
 種類は、ミルク、抹茶、ホワイト、スイート、ほうじ茶、ゆず、ベリー、京番茶と8種あり、その中から6種類を選んで詰め合わせて貰える。
 今回は写真左上より下段へほうじ茶、ホワイト、スイート、写真右上より下段へ京番茶、ベリー、抹茶、を袋詰めして貰った。

 まず惹かれたのは、その見た目の良さ。渋くも、とりどりの色合い。そしてチョコレートに詰められた豆やナッツやドライフルーツ。見た目の印象がとても良いと思える。
 封を開ける。一枚一枚取り出し、それぞれの香りを確かめる。それぞれに固有の香りがしっかりと漂う。
 では頂こう。
 食感。ん?全ての種類に共通したことだが『京テリーヌ』という商品名から加加阿365の『京ippon』のようなトロリとした食感のものをイメージしていたのだが、取り出した時からなんとなくわかっていたことだが・・・特別テリーヌをイメージするような硬度ではないような。チョコレート・・・だな。ただ、断っておかなければならないのは、食べる前に冷蔵庫に入れていたということだ。もしかして、がっつり冷蔵庫に入れておいてはいけない商品だったのかな?と。ところが、商品カタログには「焼きチョコのようなこれまでにないチョコレートの新食感をお楽しみください。」と書いてある。焼きチョコ?焼きチョコといえば、サクッとした食感が特徴だった筈。うん、確かに言われれば、テリーヌよりは焼きチョコに近いのかな?
 では、なぜテリーヌなのか?つまりは、その特徴的な柔らかさではなく、豆やナッツやドライフルーツを詰めて固めたという意味合いでのテリーヌなのかな?と解釈する。
 で、食感。個人的には口に入れた瞬間に感じる特殊感はなかった。ただ、口解けはよくしっとりと広がる。
 広がった先のフレーバーは、しっかりとしていた。特に挙げるならば、京番茶のチョコレートというのは初めてだったので、口に入れてチョコレートが口内に広がるにつれて香りだし「おお、確かに京番茶!」という記憶と合致する感覚。
 このしっかりと広がるフレーバーの感覚こそが「ピュアチョコレート」の真髄であろうか。
 純粋故に派手さはなく、弾かれるようなインパクトはないが、吸い込まれるような良さがある。
 しっかりと美味しいチョコレート。

 店舗のNew Standard Chocolate kyoto by久遠を調べていくと「全国夢のチョコレートプロジェクト」というものに行き当たった。
 全国夢のチョコレートプロジェクトは「チョコレートで魔法をかける」をテーマに、障害者をショコラティエへと育て、その就労を援助する為のプロジェクトだそうで、そのプロジェクトの一環として商品化されたチョコレート商品を「久遠チョコレート」と呼んでいるのだそうだ。店舗名の最後についている「~ by久遠」とは「久遠チョコレートによるお店」ということだろう。プロジェクトではこのような店舗(就労支援施設)を「ブランチ」と呼び、プロジェクトによる第一号店が、このNew Standard Chocolate kyoto by久遠なのだそうだ。
 なお、プロジェクトにはショコラティエである野口和男さん(OEM(受託生産)専門のショコラティエとして著名な方だとか)という方がプロデュースされ、商品の品質と独自性を高めているのだという。
 なるほど、そういうコンセプト店だったのか。そう考えると「もっとピュアチョコレート」という文句が、使用成分以外の違う意味にも思えてくるのは偏見だろうか。もちろん障害にもさまざまな症状があり、一概に語ることはできないが、例えていうならば「ひたむきな」とか。教わった作業をひたむきにこなす姿。雑念の介在しない純粋なチョコレート作り。そんなイメージを抱くことができる。

 果たして、作り手の背景はチョコレートの味を左右するのだろうか。
 人それぞれ捉え方があるだろうから一概には言えないが、
 「もっとピュアチョコレート」
 その言葉には、あえて背景を抜きにしても、純粋にチョコレートの善し悪しの中で評価を得られるという強い自信を表明しているようにも伺える。
 動機は様々。さて、お試しあれ。

(2016/08/25)

New Standard Chocolate kyoto by久遠ホームページ⇒http://quon-choco.com/

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