あんdeクッキー(プレーン)/黒コショウクッキー

<あんdeクッキー(プレーン)/黒コショウクッキー>

<店舗名:都松庵>
<価格(税込):各350円>

 

 餡でクッキー。おお、珍しい。
 けれど、餡で洋菓子って珍しいよね、って視点は『あんdeケーキ(ちーず)』で語っているので、都松庵の看板商品というあんdeクッキーでは、もう一歩踏み込んでみよう。
 「珍しい」を乗り超えて「定番」になる為には、必然性が必要だ。
 餡でクッキーを作らなければならない必然性とは?

 とりあえず、まずはあんdeクッキー(プレーン)/(写真左)から頂いてみよう。
 餡で作ったクッキーとなっているが、厳密にいうとベースは米粉であり、その米粉に生餡を練り込んでいるようだ。
 ちなみに、「あんdeクッキー」という商品名が付くシリーズには、プレーンの外に、抹茶・きなこ・フランボワーズ・アールグレイ・レモン・ココナッツがある。今回はベーシックにプレーンを選んでみた。
 見た目はクッキーというよりもお団子を思わせる、まるっこい、かわい気のあるフォルム。表面に粉糖がまぶされている。
 香りを嗅いでみると、バターの香りが強い。この辺りはクッキーらしい。では、肝心の餡の香りはというと・・・仄かにあかな?ぐらい。正直、だいぶ意識しないと気付けなかった。
 頂く。
 歯応えはしっとり、そして、さくさく。歯を入れると割れるというよりも押し込む感じ。けれど、細かな部分ではサクサクとする。なるほど、通常のクッキーにはない不思議な食感だ。この変化は米粉の影響なのか、それとも餡の影響なのかは判断つかないが、この商品の一つの特徴として挙げられるだろう。
 そして味は、バターの風味と餡の風味がほどよく混ざり合った感じ。香りの時と同じように存在感としてはバターの方が強く、何気に食べていると餡に気付けなさそう。ただ、香りよりは風味の方が餡の存在を多少は強めに感じることができた。なので、餡!と強く意識して食べれば食べたなりの独自の風味が楽しめるのだが、例えその存在に気付かなくても、普通に美味しく頂けた。まぁ、餡の風味に気付かないと、この商品を食べている意味はないのかも知れないが。。。

 次に黒コショウクッキー(写真右)
 あんdeクッキーシリーズは全て球体なのに、これだけ板状。とても異質感がある。ちなみにこの商品には「あんdeクッキー」という名称がついていない。シリーズとは別物ということか。ただ、見た目にきつね色で香ばしい印象を与えてくれ、それだけで食欲をそそる。
 香りは、チーズの香りとコショウの香り。餡は・・・ん?どんなに探しても香りませんが?鼻馬鹿でしょうか?
 とにかく、頂いてみる。
 おお!硬い!がりっと、ガリガリ!好ましい硬度な歯応え。病み付きになりそう。
 では、味はどうかというと、チーズの風味とコショウのピリッとした辛味の刺激が、お菓子というよりもビールのおつまみといった感じだ。感じだ、というよりも、ビールのおつまみだ。間違いない。これはお茶やコーヒーや紅茶ではない。ビールだ、ビール。そして餡はどこだ?!馬鹿舌なりに必死に餡の風味を探すも、チーズとコショウが俺が俺がと前面にアピールしてくるので、餡はどこに隠れてしまったのかまったく見つけられなかった。
 うん、これは餡で作る必要があったのだろうか?いや、好き嫌いはあるだろうが、個人的には食感も含め好きだ。好きなんだけれども・・・こんな恥ずかしがりやな餡には出会ったことがない。組ませるパートナーを間違ったのでは、と思ってしまう。

 餡でクッキーを作る味わい以外のメリット。
 上記の商品に利用されている生餡の原材料は白隠元豆だという。
 白隠元豆にはファセオラミンという成分が含まれていて、ファセオラミンは炭水化物の消化・吸収を抑える効果があると言われ、ダイエット効果が期待できるのだそうだ。
 なので、同じ量のクッキーを食べるにしても、通常の小麦粉でできているクッキーを食べるよりかは摂取カロリーを抑える効果が期待できるかもしれない。

 でだ、餡でクッキーを作る必然性は見つかったのか?
 正直、個人的には餡は餡、クッキーはクッキーでいいのではないかという固定観念を崩すまでにはいたらなかった。
 ただ、あえていうならば二つのことが言えるかもしれない。
 まずは、普段餡を口にすることのない人々への餡を知って貰うための切っ掛け作りとしての「定番」。洋菓子として馴染み深い、手に取りやすい商品としてのクッキーを、あえて餡で作るということでアプローチしようという一つの必然性。実際の成行きとしては「珍しさ」がその後の餡の消費を左右する要因となると思われるが、これは都松庵の意図するところでもあろう。
 もう一つは、餡好きにとってみると食感の良い餡菓子というのは他になかなかないのではないだろうか。餡の風味を楽しみながら、食感も楽しみたいとなると、あんdeクッキーは最適なのかもしれない。餡で食感を楽しむ為の必然性。
 つまりあんdeクッキーは、ただ「珍しい」だけでは終らない。そこには餡でクッキー、である必然性が存在しうるのだ。

 と、まぁ御託はよいので、まずは「珍しさ」でお試しを。
 その先の「必然性」は、それぞれの人の中に。。。

(2016/09/22)

都松庵ホームページ⇒http://www.toshoan.com/

京都にての一品トップへ トップページへ