からめる焼

<からめる焼(ビターショコラ・かをり山椒)>

<店舗名:六角庵>
<価格(税込):各626円>

 

 からめる焼かぁ。懐かしいなぁ。あの、くっそ甘いお菓子だよね?
 商品名を目にし、まず思ったこと。
 しかし、妙な語感の違和感。なんか違う?早速ネットで調べてみる。そうすると、思っていた検索結果が得られない。あれ、イメージしたお菓子って・・・と思い出すこと数分。ああ、あれはカルメラ焼か、と思い至る。
 似て非なるもの。
 では、からめる焼とはどんなもの?
 試してみた。

 見た目は、ラスク。
 商品の説明書きによれば「からめる焼専用に焼き上げた美味しいさの秘訣パン・ド・ミにいろんなお味をからめて焼き上げました」とある。
 パン・ド・ミとは、いわゆる「中身を食べるパン」のことだそうだ。身近なところでは食パンが当たる。つまり、食パンのミミを取った部分と考えればよいか。
 ラスクとは「二度焼きした焼き菓子」という定義のようなので、からめる焼をラスクと区別する明確な基準がいまいちわからない。
なお、上記した説明書き通り、からめる焼には「~いろんなお味をからめて焼き上げた」商品がある。京都宇治茶、塩きなこや、諸々と。京都なので京都らしい味を選べばよかったのだが・・・今回は個人的嗜好により「ビターショコラ(写真左)」と「かをり山椒(写真右)」を選択してみた。

 まずはビターショコラ。
 封を開ける。チョコレートと焼き菓子の香り。驚きを与えてくれるほどではないが、素材そのままの香り。
 一粒をまるごと口の中に放り込む。食感は、ザックザックとラスクとイメージを同じくする。しっかりと焼き上げ、歯切れよく砕けていく。特別なものはないが、もとよりラスクの食感が好きな人間にとっては好ましい食感。
 そして風味は。口に入れると、まずチョコレートの風味。噛むほどにラスクらしい焼き菓子と砂糖の甘さ。やがて軽い苦味が滲みだし後に残る。
 うん、美味しい。

 続いてかをり山椒。
 封を開ける。きた!山椒!これは良い感じに攻めてきている山椒の香り。実に好ましい。
 一粒頂く。食感はビターショコラよりもよりハードか。ガリガリと歯が砕いていく食感。ますます好ましい。
 そして風味は。山椒だぁ!まず山椒の風味。それから甘じょっぱい風味。これはなんだと原材料を見ればもろみ醤油を加えているようだ。なるほど、癖になる甘じょっぱさ。そして最後にかけて山椒の風味が残り、舌にもピリリとした山椒の刺激が残る。
 ああ、好きだなぁ、これ。人によって好き嫌いがでやすい商品かもしれないが、個人的には好きだなぁ。お菓子というよりも、お酒のアテにでもなりそうな風味だ。ここまではっきりと山椒を主張させてくれる、そのコンセプトにも好感。

 それにしてもだ、これはどう考えてもラスクではないだろうか。
 それを、どうして『からめる焼』という商品名をつけたのだろうか。
 発売元の六角庵のサイトを見ても、明確な記述がない。
 ラスクとからめる焼を区別するもの・・・ん?と気付く。上記した商品説明書きの一部分「~いろんなお味をからめて焼き上げた」。これか!
 つまりはいろんなお味をからめた⇒いろんなお味をからめる⇒だから「からめる」焼なのか。
 ただ、これだけだと、なぜ「からめる」と現在形の表現を選択したかの確証に欠ける。商品の状態からすれば「からめた」と過去形を選択するのが妥当ではないだろうか。それに「からめて」焼いたお菓子、というのもアピールポイントが弱くないだろうか。
 「からめる」をネット検索すると「キャラメル」が表示される。キャラメル・・・商品やその原材料を見る限りキャラメルをテーマに据えている様子は窺えないのだが・・・もしや、キャラメルそのものではなく、糖類を加熱し香ばしさを出す「キャラメル化(キャラメリゼ)」を掛けたのではないだろうかと気付く。
 『からめる焼き』とは、混ぜ合わせるという意の「からめる」と、糖類を加熱し香ばしさを出す「キャラメル化」を掛けた意味合いの商品名なのではないだろうか。つまり、「いろんなお味をからめた上、香ばしく焼き上げた」お菓子という意ではないだろうか。
 なるほど!
 勝手な推測ではあるが、自己満足に至る。

 大分類上はラスクといっていいだろう。
 けれど、京都ならではの価値観をからめることで、独自性を志向した一品となっているようだ。

(2016/12/01)

六角庵ホームページ⇒https://rokkakuan.jp/

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