<京野菜のどあめ>
<店舗名:祇園あべや>
<価格(税込):500円(徳用)>
京野菜を使用した商品としては以前クレームデラクレームの「京野菜シュー」を紹介しているが、食品において京都ならではの独自性を強調するのに京野菜は重要なアイテムだ。特に京都という存在に感心を持つ人間であれば、材料に京野菜が使われているというだけで、その商品の魅力は数倍増しになる。
今回はのどあめ。
京野菜ののどあめだって?これは試さなければならないだろう!
まんまと売り手の思惑に乗って購入してしまった。
飴の種類は7種類。
写真左上から「聖護院だいこん」「丹波黒豆」「九条ねぎ」「鹿ケ谷かぼちゃ」下段左から「賀茂とまと」「金時にんじん」「丹波ぐり」。
形状は球体。色合いはそれぞれ野菜のイメージに寄せてある。
封を開けたあとの香りは・・・ああ、それぞれに違う。それぞれの風味が期待できそうだ。
「聖護院だいこん」
まず麦芽糖と思われる風味があり、次にハッカのようなハーブの風味が訪れ、最後にだいこんの風味がやってくる。一番、複雑な風味か。複雑故に、だいこんのインパクトは抑えられている。少々、中途半端な風味。纏めた感が強い。
「丹波黒豆」
口に入れた瞬間は、黒豆の風味は見つからない。どちらかというと麦芽糖の風味が強いか。麦芽糖の甘味。舐めていると、やがて飴に含まれていた黒豆の欠片に出会う。出会って始めて、黒豆の風味が漂い出す。黒豆飴、というよりも黒豆入り飴、という感想を持つ。
「九条ねぎ」
ねぎ!最高に攻めている!最高のねぎ風味!その心意気にほれぼれ。最後の最後までねぎ。
「鹿ケ谷かぼちゃ」
おお、かぼちゃだ。かぼちゃの風味と甘味がしっかりと出ている。
「賀茂とまと」
口に入れて瞬間的にトマトだ、と思える。さっぱりとした風味。
「金時にんじん」
余りにんじんをイメージするような風味がない。どちらかというとハーブエキスの方が強いか。にんじん・・・にんじん・・・あれ?にんじんの味ってどんなんだったか?と記憶を辿っていたら・・・ああ、した。そういえば、にんじんってこんな味だったと数度小刻みに頷く。口当たりは良い。良いが、にんじん自体が主張の少ない野菜故に、攻めている感は余りない。
「丹波ぐり」
おお、栗だ。栗の風味と甘味がしっかりと出ている。
なんだか、とても攻めの姿勢に好感。
特に九条ねぎがお気に入り。
普通、ねぎを商品にしようとすれば好き嫌いの差も激しく思われ無難な商品に終始してしまいそうなものだが、ハーブの風味を加えつつもしっかりとしたねぎ風味が楽しめる。極端に言えば、舐め終えた後も少しの間、口の中にねぎ風味が残る程に。
この商品のもう一つの肝は「のど飴」である点ではないだろうか。
そもそも「のど飴」の定義がしっかりとしている訳ではないので、普通の「飴」とを区別するのは難しいが、少なくとも製造者が「のど飴」を志向し商品としているところに、普通の「飴」との差は生まれてくるだろう。この「京野菜のどあめ」には花梨エキスやハーブエキスを配合し、のどをすっきりさせる工夫が施されている。
ただ素材に頼るのではなく、もう一手工夫を凝らす攻めの姿勢。
京野菜の風味が、喉に薫る一品。