フェアリーテール

<フェアリーテール>

<店舗名:Kyoto 生chocolat>
<価格(税込):1840円>

 

 まず、その店舗名が余りにもストレートで潔く、心意気を感じさせてくれる。
 Kyoto 生chocolat。
 その店舗名に偽りなく、生チョコレートを提供してくれるお店だ。
 生チョコレートの外にもケーキを提供してくれるのだが、ここはやはり看板商品の生チョコレートを試したい。
 生チョコレートの種類は、お抹茶、ビター、スウィートとあるのだが、最も特徴的なもう一つの商品であるフェアリーテールを今回は購入してみた。
 サイトの説明書によれば、
 『北欧産のリンゴンベリーを使用した甘酢っぱい生チョコレートです、可愛いピンクの下にはビターチョコ、上にはドライブルーベリーが一粒新しい味わいの生チョコをお届けいたします。』
 とあり、この説明だけで、すでに美味しく感じられた。

 箱を開ける。商品名から連想し、なるほどと思わせる可愛らしいピンクの表情を浮かべたチョコレートが並んでいた。
 冷凍保存の為か、チョコレートの香りは微かに漂うばかり。
 保存は、冷凍保存が基本となる。冷凍庫から出してすぐに食べても良いし、5分程常温で置いて食べての良いとの事。
 両方の食べ方を試してみた。
 まず冷凍庫からとり出して、すぐに口にした場合。それでも凍っていない。歯がなんなくチョコレートを裁断する。口の中で僅かの間、固形の抵抗感を感じるが、やがて形状はゆるみ、やがて溶けるように消えていく。
 一方、常温で5分程置いてから口にした場合は、すでに抵抗感は最少であり、上顎と舌で挟み込むように圧迫すればゆったりととろけてゆく。固形はすぐに形を失って、滑らかな舌触りと共に溶けてゆく。
 この柔らかさこそ、生チョコレートの醍醐味か。
 そして風味は、なんといってもリンゴベリーの酸味が好ましい。その酸味に角を立てさせないように重みを加えるようなビターチョコレートの風味。そしてなによりも特徴的と思われるのは、リキュールの風味だろうか。アルコールの強みを感じさせず、リンゴベリーの酸味ととても相性の良い透明感のある爽やかな風味で、ビターチョコの風味も内包しつつ、調和を生み出し商品の方向性を決定付けているような存在。
 最後に残るのは、ドライブルーベリーの一粒。前歯でプチプチと潰しながら、口内に残ったチョコレートの風味とブルーベリーの風味を余韻として楽しむ。
 しっとりとした食感の中に、ほどよい軽快さを覚える美味しさ。

 当店のオーナーは、元々ニューヨークの日本領事館で高級仏蘭西料理の料理人を務め、オードブルからデザートまで腕を振るっていたそうだが、やがてチョコレート作りに専念し、当店をオープンされたそうだ。
 その転身には、余程チョコレートへの想いれがあったのだろうと推測される。
 フェアリーテールとは「おとぎ話」の意と思われる。
 一人の料理人の、チョコレートに対する強い思い入れが生み出した「おとぎ話」。
 そのストーリーは、甘酸っぱく爽やかで、好ましい軽快さを覚えるものだった。

(2017/01/03)

Kyoto 生chocolatホームページ⇒http://www.kyoto-namachocolat.com/

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