北山ちーず

<北山ちーず>

<店舗名:游月>
<価格(税込):650円>

 

 小豆とチーズの組みあわせでいうと、以前紹介した「あんdeケーキ(ちーず)」を思い出す。「あんdeケーキ(ちーず)」は小麦粉を使わずに生餡を中心に練り上げ焼いたものだったが、今回紹介する「北山ちーず」は、同じように小麦粉は使用せずに、米粉と餡をまぜて作る時雨の手法を用いて、時雨羹となれば蒸し上げるところを、見た目パウンドケーキのように焼き上げた一品となっている。
 商品名の「北山」は、店舗の立地的なものと、北山杉からのイメージのようで、なるほどその色合いはまるで杉の木肌のようにも見え、趣を添えている。

 では、頂いてみる。
 香りは餡が強いだろうか。チーズは少し控えめか。
 原材料を見ると、クリームチーズとゴーダチーズを使用しているようだ。
 食感は、始めパラパラと崩れるが、かといってパサついている訳ではなく、程よくしっとりとしていて、口の中でほぐれるほどに滑らかになっていく。切り分けるのに包丁の刃を入れた感じや見た目の感じから、少しパサついているかと警戒し飲み物を傍らに用意したが、口の乾きからそのカップを急いで手にする必要はなかった。
 そして風味はというと、生地全体から柔らかな酸味の効いたチーズの風味がじんわりと、けれどしっかりと漂ってきた。程好い甘味を帯びた小豆の風味は、見た目に食欲をそそるその姿の周辺において強く漂い、口に入れた瞬間にはちぐはぐであったチーズと小豆の風味は、上記で触れたように舌触りが滑らかになっていくと共に融合し調和した味わいとなっていく。
 また、後味は軽く、さっそく次へ手を伸ばしたくなった。
 素材の主張をしっかりとコントロールしながら、調えられた味わいが好ましい。

 「あんdeケーキ(ちーず)」と比較すると「あんdeケーキ(ちーず)」は商品名に「あん~」とあるもチーズが主役の印象を受けたが、この「北山ちーず」は商品名に小豆(餡)の文字がなくても、主役はあくまでも小豆である印象を受ける。
 サイトの商品紹介欄に記載された『和魂洋才』という言葉。
 その言葉からも、あくまでも主役(魂)は小豆であり、チーズは小豆の新たな魅力を引き出す技(才)として志向し、創意工夫を重ねた結果、辿り着いた一品なのだろう。
 なるほど、商品名の「ちーず」を平仮名で表記する正しさよ

(2017/04/19)

游月ホームページ⇒http://kyoukasyou-yuuduki.com

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