<甘露竹>

<店舗名:鍵善良房>
<価格:380円(税込)>

 

 ああ~、暑い。
 ああああ~、暑い!てか、日差しが痛い!
 そんな猛暑が続く日々。まぁ、冷房の効いた室内にいることがほとんどなので、それほどの被害を蒙っている訳ではないのだが、それでもこんな時には、この時期らしい涼を感じさせてくれる一品が恋しくなる。
 西瓜。いいね。胡瓜。いいね。でも、瓜系ばかりでは芸がないので、青は青でも、青竹の涼なんてどうでしょう。
 夏で青竹とくれば流しそうめんを連想させるが、今回の一品、その中に流し込んだるは羊羹で。
 鍵善良房の『甘露竹(かんろたけ)』で御座います。

 商品に同封された説明書きに記された『良く冷やし青竹に薄すらと露の結ぶのを待ってお召し上がりください』の通り、青竹の表面に露が浮かぶまで冷やしてみた。光りを反射する、その露の輝きといい、青竹の濃い色合いといい、とても瑞々しさを覚え、冷感を誘う。
 更に青竹に鼻を近づければ、しっかりとした青竹の香りが、爽やかなイメージを誘う。
 さて、食べ方。
 笹の葉が巻かれた反対側の『節の部分に小さな穴を開け、小皿の上にそっと振り出し~』『節に穴を開ける場合、先の尖った者をご使用頂きます。多少力を必要としますので、手先には充分気をつけてください。』との説明書き。なお、3本以上購入の場合は、このような作業が必要になる模様。2本以下は最初から穴を開けた状態で販売されているとの店員さんのご説明。
 で、笹の葉を取り外し、フリフリと軽く振ってみると、ツルリと中の羊羹が出てきた。後は、お上品に『楊枝等でお召し上がりください』でも良し、そのまま吸いつくのも良し。
 吸いついた。良く冷えている。一部を歯で崩す。ツルリンとした舌触り。瑞々しくあり、それでありながらしっかりとした小豆の風味が口内に広がる。原材料、砂糖、小豆、寒天、塩だけの上質な羊羹。そして調子に乗って吸いついて食べていると、意外な長さに咽喉元まで流れ込んできて・・・おっと、危ない。口いっぱいに頬張り・・・うーん、冷たくて美味しく、喉越しも爽やかだ。
 暑さを感じるのも夏。
 暑さ凌ぎに冷えた物が格別に美味しく感じられるのも夏。
 うん、まさに夏の美味。

 最近では類似商品をちらほらと見かけるのだが、プラステック容器を代用としてるものが多いような。
 確かに口に入れる主役は羊羹なので、その容器である、容器でしかない竹を、プラステックで代用するという選択はコストを考えれば適した選択であるのかもしれないのだが、違う視点で、例えば普段羊羹を食べる習慣のない人間からすると、青竹模様のプラステックの容器に入った羊羹は・・・やっぱり好んで食べる気にならない。外見変えてるだけで、普通の羊羹だし。
 ところが、甘露竹のように本物の青竹を使っていると、確かに主役は羊羹なのだが、容器である青竹もまた、羊羹に負けない主役となって見る者を惹きつけてくる。それはやはり、本物の青竹が持つ見た目や質感、香りが、非日常的な特別感を与えてくれるからだろう。
 本物の青竹を使うことは、きっと手間が掛かることだろう。それに伴い、価格が上がってしまうのは仕方がないことだ。それでもなお、涼を求めて口にする羊羹であるならば、青竹の存在を活かし、感じられる物の方が、手にし、口にした時の喜びは大きくなるだろう。
 これぞ夏の定番涼味。
 ぜひとも、キンキンに冷やしてお楽しみください。

 同店別商品:おひもさん

(2017/08/03)

鍵善良房ホームページ⇒http://www.kagizen.co.jp/

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