<チョコレート羊羹/チョコレートおかき>

<店舗名:カカオ亭(牟尼庵)>
<価格(税抜):チョコレート羊羹450円/チョコレートおかき800円>

 

 例えばチョコレートフォンデュをする機会があったとする。
 素材は色々。果物にマシュマロ、パンなど好みの食材を溶かしたチョコレートに絡めて食べる。
 選択は自由だ。
 例えばおかきをチョコレートに絡めるとなったらどうだろうか?意外ではあるが、まぁ、最近はポテトチップスにチョコレートをコーティングした商品が出ているぐらいなので、塩味と甘味の組みあわせと考えれば思ったよりも突飛なものではない。
 あるんです。チョコレートおかき。
 では、羊羹は?
 ・・・あり得ない。小豆とカカオの風味が融合するイメージができない。また色彩も同系色で、見栄えも鈍重。
 あり得ない・・・けど、ありましたチョコレート羊羹。。。

 まずはチョコレートおかき(写真右)。
 見た目の形状は、通常のおかきと変わりない。ただ、チョコレートがコーティングされている為、表面が少し滑らかに見える。
 香りを確認。チョコレートとおかきの香りが混じり合い・・・チョコフレークっぽい香りがする。
 では、頂く。
 食感。おかきとしては軽めの食感か。ガリガリ、ボリボリはしてない。サクサクと歯が通る。また、チョコレートは表面のコーティングばかりではなく、内部まで染み込ませてあるので、一部チョコレートが固まっているところがあり、そこは固形チョコ―レートと同じ歯応え。
 さて、風味はというと、カカオの風味がしっかりとするチョコレートの甘味と、おかきの塩味がしっかりと交わっている。なお、原材料を確認すると醤油は使われていないが、なんとなく醤油の存在を感じてしまうのは、おかきといえば醤油、という先入観の為か。
 スイカに塩効果。ポテトチップにチョコレート効果と同じ。なので、チョコレートとおかきという稀な組み合わせに面白味は感じるが、風味として大きな驚きはない。普通に美味しい。雑に例えてしまえば、香りのイメージ通りのチョコレートフレーク。なので、もっと量を食べたい欲求に駆られるが・・・残念ながら少量(購入時は6本入り)の割には小市民には高価格。お上品に頂きました。

 そしてチョコレート羊羹(写真左)
 見た目は羊羹。もちろん、通常の羊羹にチョコレートを絡めただけといった単純なものではない。小豆餡に溶かしたチョコレートを練り合わせているそうで、色合いが濃くなり、通常の羊羹のような寒天の光沢は消されている。
 香りを確認。チョコレートの香りが漂う。そもそも通常の羊羹に香りはほぼなかったように思えるので、チョコレートの香りが表にでた形だろう。
 一口。食感は、羊羹そのまま。あくまでも羊羹。
 いざ、風味は・・・先行するのはチョコレートの風味。一気に口内に広がり、まるで普通のチョコレートを食べているかのように感じられるのだが、咀嚼を開始しすると、やがて羊羹を食べているのだと気付かされる。それは噛み締めれば噛み締めるほどに小豆の存在感が増すことによって確信になり、最終的に「ああ、羊羹だ」という感想で終った。もちろん、最後までチョコレートの風味もいるのだが、カカオと小豆の融合という感じではなく、カカオと小豆の風味を行ったり来たり、並行作用を味わう不思議な感覚だった。なので、これを単純に「美味しい」と言えるのか難しいところだ。都合の良い言葉を使ってしまえば「面白い味」となるだろうか。

 通常、和魂洋才といえば、内の素材を、外の技で活かそうと考えるのだから、外に広がる作用と解釈できる。
 では、その逆はどうだろうか。外の素材を、内の技で活かそうと考えた場合、それは内に回帰する作用、内を見直そうとする行為となるのではないだろうか。
 伝統ある京都の和菓子の文化。
 一方で近年、チョコレート激戦区でもある京都。その中で、チョコレートの新しい価値観の模索が内へと向いた時、チョコレートと和菓子が結びつくのは必然の流れだったのだろう。
 言うなれば洋魂和才。
 京都ならではの、チョコレートの新しい潮流が始まったようだ。

(2018/05/02)

カカオ亭ホームページ⇒https://munian.net/cacaotei/

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