<シフォンロール 抹茶>

<店舗名:Patisserie LuLu>
<価格(税込):1690円>

 

 そもそもシフォンケーキってなんだ?となり、調べてみた。
 1927年にアメリカの保険外交員のハリー・ベーカーという人物が考案したもので、その特徴は生地に植物油(サラダ油)を加えるというもので、食感が絹織物のシフォン(薄くて柔らかい織物)のように軽いことから名付けられたそうだ。
 スポンジケーキとシフォンケーキの違いがいまいちわからなかったのだが、上記の経緯からすると、植物油(サラダ油)を加えたものがシフォンケーキということでよいだろうか?
 と思ったが、ネット上を更に調べてみると、ノンオイルを謳うシフォンケーキもあったりして・・・状況を纏め、現在のシフォンケーキの定義を仮に定めるとするならば、ハリー・ベーカーさんが作ったシフォンケーキのように柔らかく軽い生地のものを、シフォンケーキと呼んでいる、ということで良いだろうか。
 今回紹介するPatisserie LuLuの『シフォンロール 抹茶』にも、原材料を確認すると植物油(サラダ油)が入っていない。
 そういうことなのだろう。

 気泡が多く空いた、見た目にフワフワとしたシフォン生地。クリームの中に小豆の姿が、また喜びとなる。しっかりとした抹茶色。
 が、抹茶の香りはしない。焼き上げられたシフォン生地の香り(小麦と卵を主体とした)はしっかりとする。
 では、頂く。
 なるほど、生地は実に柔らかくて軽い。しっとり感は程々に、パサつき感はなく、フワフワとした印象が強い。クリームは滑らかに。時折触れる小豆の舌触り、食感が好ましい。
 さて、一保堂の抹茶を使用しているという主役の抹茶風味だが、比較的抑えたものになっている。「おお、抹茶だ」というよりかは「うん、抹茶だね」と適度な、じんわりとした抹茶風味が漂う。それにシフォン生地の風味が合わさり、ここでも時折の小豆の存在がアクセントとなる。クリームに甘ったるさはなく、苦味も強調されない程度に、馴染む程度に。
 最近は抹茶の濃厚さに特長を求める商品も多いが、このシフォンロールは比較的親しみやすい抹茶風味となっており、シフォン生地の特徴である柔らかさと軽さを意識した味わいの設計となっているようだ。
 軽さに釣られて、がぶり、がぶりと美味しく頂きました。

 ネットで「京都 ロールケーキ 抹茶」で検索すると、実に多くの商品が表示される。
 その中には、抹茶が専門分野の企業が新たな取組として販売している商品がある一方で、ロールケーキを扱う洋菓子店が新たな風味として販売している商品もある。
 こうしてみると、ロールケーキと抹茶は実に親和性の高い素材と商品であることが伺える。
 そんな激戦商品の中にあって、今回紹介した『シフォンロール 抹茶』の特長は『シフォン』という名に裏打ちされた食感と風味の柔らかさと軽さ、に求めることができるだろうか。
 濃厚至上主義に走る時、その特長は輝きを失うかもしれないが、一方で抹茶がそれほど得意ではない人にとってみれば、どうしても京都らしい抹茶を試したいが、濃厚なのはどうも苦手となった時に、この柔らかさと軽さが活かされる場面もあるのでなないだろうか。
 「京都 ロールケーキ 抹茶」をキーワードとした時、選択肢の一つとして、その存在は見逃せない。

(2018/05/10)

Patisserie LuLuホームページ⇒http://patisserie-lulu.com/

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