すずしろ

<すずしろ>

<店舗名:丸太町 十二段家>
<価格:1050円(税込)>

 

 近頃「中学生ホームレス」で話題のお笑いコンビ麒麟の田村さんが語るコメントの中に「ごはんの味の向こう側」というものがある。それは限界まで何度も白米を咀嚼し続けると、最後に一度だけ「フワッ」と味がにじみ出る瞬間があるのだとか・・・・・・。
 管理人は幸いにも?そのような経験はした事はないが、ほうじ茶の中でにじみ出る漬物の「旨味」は味わった事がある。それを味あわせてくれるのが、今回紹介する丸太町十二段家の「すずしろ」。
 あなたは、漬物の旨味を味わったことがあるだろうか?

 料理内容はいたってシンプル。ご飯にダシ巻き卵、赤出しに漬物の盛り合わせ、ほうじ茶。
お店の推奨する食べ方としては、ご飯一杯目はそのまま漬物と合わせて味わい、二杯目にお茶漬けにして食べるというもの。ちなみにご飯のお代わりは自由。なので――
 知りたくもない管理人の食べ方と喜びは、以下の通りになる。

 まず一口目はやはり汁物からという事で赤出しの椀の蓋を取る。するとなんという事だ、この「おいしい」香りは!よく嗅げば、それが山椒の香りだということがわかる。割り箸で軽くかき回しつつ、そっと一口。すんばらしい!実は、はじめて「すずしろ」を食べて一番印象に残ったのが、この赤出しだった。この日以来、管理人は山椒好きになってしまった。ただし、後日家で赤出しに山椒をぶっかけてみてもこの味にはならなかった。ので、以後注意。あなたも、注意。
 赤出しの具は生麩を基本ペースに、季節によってはきのこ類や白身魚の身が追加される。特に管理人が好きなのは、しめじが入った時がたまらない。しかも、しめじの茎の部分というのか?根っこといえばいいのか?とにかく、しめじの土台の部分が入っていたら、管理人的には大当たり~!。そこを噛み締めたときににじみでる味がたまらない。すると、管理人はとてもほんわかと幸せになってしまう。あなたのお碗にも入っていたなら、それは当たりです。心から祝福しましょう。おめでとう!

 漬物は季節によって変わる。ので四季折々に訪れるのが楽しくなる。柴漬け、菜の花、なす、たくあん、きゅうり、その他諸々。なかでも管理人の一押しは、上記写真にも中央に控える(写真が見難く申し訳御座いません。技術がないもんで、技術が・・・)ごぼうちゃん。素晴らしくいい味を出してくれる。それこそ、咀嚼を繰り返す度ににじみ出る旨味。その味を楽しみつつ、ご飯をかっ込む。こうして漬物をかじっては、ご飯をかっ込む、このコンビネーションだけで、お代わりを含めご飯三杯を平らげる。うーん、腹七、八分ってところか。

 おっと忘れていた、ダシ巻き君。上記かっ込み運動の合間に、一切れの三分の一ぐらいを口に放り込む。ふっくらとした口当たりと、口内で流れ出すダシ。間違いない美味しさって、こういうことをいうのだろう。もちろん卵自体が駄目な人であれば、それは例外となってしまうが、卵好きな管理人にとったら、こりゃ間違いない。安心して平らげてしまう。

 さーて、いよいよメインイベント!?最後のご飯をお茶碗によそる。この時のご飯は少なめにしておくとベスト。残った漬物を色合いを楽しみながらご飯の上に飾っていく。そしてその上から豪快に・・・・・・はしなくていいので、ほどよくほうじ茶を全体に万辺なくなく注いでいく。やや具材よりもほうじ茶の方が多くなるようになるとよい。
 後はせっかく飾ったけれども、そこは心を鬼にしてご飯と漬物を掻き混ぜてしまう。
 かっ込みながら、味わいながら。
 この時、例えはごぼうを(なければ他の漬物を)改めて一口食べてみる。すると、普通に食べている時よりも一層ごぼうから出てくる味の強さに驚く。その唾液の分泌を促すような美味さは、漬物故の塩分に由来した旨味なのだろうが、その奥に一点、野菜自体の旨味が存在する。それがこのお茶漬けにおいてより一層明確となるのだ。その理由として考えられるのは、ほうじ茶によって口内がすすがれた状態になる為、いわば「ゼロの感覚」でもって漬物を味わうことができるからだろうか。もちろんこれは、なんら根拠のない持論であるが、そんな感覚を覚える。

 最後は一気にかっ込んでしまえ!!

 茶碗を置いて、箸を置く。
 最後に、ダシ巻き卵に添えられているハジカミをガリガリ。辛れぇ~~、けど口内がサッパリ。
 ほうじ茶で一服。
 ごちそうさまでした。

 店内の雰囲気も落ち着いていて管理人は気に入っている。
 席は円卓3台に、4人席が1台。6、7人座れる席が1台。合計5台の為、客が多い場合は若干待つ必要がある。
 一時期TVで紹介された時には、待ち時間も一時間を超えた時もあったが、最近は比較的すんなり席に座れることが多いように思う。もちろん、ある程度時間は考えて行っているが。

 一度あなたも、ほうじ茶の向こう側を感じてみてはいかかだろうか?

(2007/12/20)

丸太町 十二段家ホームページ⇒http://www.m-jyunidanya.com/

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