おとぎ草子

<おとぎ草子>

<店舗名:吉廼家>
<価格(9個入り)1050円>

 

 おとぎ草子=お伽草子といえば、室町時代から江戸時代にかけて作られた絵入の短編物語集であり、その名が定着したのは江戸時代中期に大坂の本屋が『御伽文庫』または『御伽草子』として一寸法師や浦島太郎といったなじみの深い物語を含む23編を刊行してからとのこと。
 『銘菓「お伽草子」は古くから伝わる掌編にちなんで作った《掌菓》です。その可愛らしい姿に、あなたはどんなドラマを思い浮かべますか』
 と、お菓子に同梱された説明書には以上のようにあった。さて、どんなドラマを・・・思い浮かべられるほど創造性にとんだ人間ではないが、さっそく頂いてみる。

 と、一つ一つのドラマを語りだしたらいたく長くなってしまうので、全体のなんとなくのドラマを語ろう。
 基本は当然のことながら和菓子。原材料を見てみると、砂糖に小豆、手亡豆(てぼうまめ)、寒天、青えんどう豆、米粉、山いも、卵と特別な材料を使用していることはない。これらの材料に着色料を組み合わせ、技術を駆使し、様々な姿を形作っている。その姿は季節によって変わってくるようで、ちなみに今回は夏に買ったので、写真の下段中央はスイカを象ったものとなっている。中央にあるのはリンゴ。
 個人的には豆の素材をそのまま活かした種類が好ましかった。練り菓子や寒天菓子の良さも当然あるのだが、個人的嗜好として、ある程度の歯触りの良さを求めてしまいがちなので、そんな感想を抱いた。
 風味は姿がリンゴだから、スイカだからといってそれに似せたものになっているわけではない。それぞれある程度甘味が強めの、お茶のお供として適した風味を備えていた。バクバクと量を食べるものではなく、それこそ一つ一つの姿、食感、風味を楽しみながら頂くのがいいだろう。
 なかなか味わい深い一時を過ごすことができた。

 一箱に多様な楽しみが詰まっている様子は、確かに甘く可愛らしい物語が詰まっているといっても過言ではないだろう。
 この一箱に、あなたはどんな物語を見出すのだろうか?

(2011/09/07)

吉廼家ホームページ⇒http://www.kyoto-yoshinoya.co.jp/

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