「然」カステラ

<「然」カステラ>

<店舗名:然花抄院>
<価格(1個)630円>

 

 カステラといえば、刷り込み式に脳裏に植え付けられているのは文明堂のカステラ。幼き頃より、なんかわからん白い熊?だか狸?ぬいぐるみ?がラインダンスのように踊りながら「カステラ1番、電話は2番、3時のおやつは文明堂♪」で最後にうつ伏せになって尻尾を振るという。で、実際にカステラは好きかといわれると、毎日食べたいと思うほどの好物ではない。あれば食べるけど、程度。なんというか、お菓子というよりもパンに近しいような感覚。もちろん、世の中には様々なカステラがあって、こんな既成概念を打ち破るようなカステラも存在するのだろうが。。。

 そこに登場したのが今回紹介の「然」カステラ(小)。出会いは京都の本店ではなく大阪の梅田大丸。何の気なしにウロウロしてたら発見。試しに購入してみた。
 売り文句は「丹波黒豆を食べ、京都で育った鶏の卵を使用。黄身の味の濃い、然花抄院だけの紙焼きかすてら。」
 当然のことながら、売り文句がすでに美味しそう。
 見た目は既成の、それこそ文明堂のカステラ等に見られるあの立方体のようなカステラではなく、いかにも「自然に焼き上げました」とした姿。卵と小麦の香しい香りが漂う。
 早速頂いてみた。
 うん、とてもしっとりとした舌触り。名付けるならば生カステラとでもいおうか。カステラの既成概念を大いに覆してくれる。カステラというよりも、スフレを食べている感覚に近いか。
 風味は限りなく濃厚。卵の風味が濃縮され印象的だ。始め見た時に「なんて小さいんだ!」「物足りなそう!」と思ったのだが、この濃厚さの為に小さいと感じていたものが全て食べ終えると丁度良い満足感で満たされた。下手に食べ過ぎていい代物ではないなという感想。
 見事にカステラの、もちろん個人的な既成概念ではあるが、それを打ち破ってくれた。うん、美味しい。
 カステラばかりではなく、入れ物やヘラなど備品にも凝っていて見ていて楽しかった。まぁ、その分値段に反映されていると思うと、小市民は手放しでは喜べないが。。。

 最近はなにかと「生○○」という商品が増えてきていて、天邪鬼な性格がそれらを却って遠ざけようとしてしまうのだが、出会ってみれば「着実なるカステラの進化」をこの「然」カステラに見た思いだ。
 賞味期限は製造からわずかに2日。鮮度が命のカステラだ。
 故に、その点ばかりは見方によると退化ともいえるかも。。。

(2012/04/26)

然花抄院ホームページ⇒http://zen-kashoin.com/

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