真盛豆

<真盛豆>

<店舗名:金谷正廣>
<価格(1袋)840円>

 

 金谷正廣の説明書きによれば、真盛豆とは室町期の天台宗僧侶である真盛上人が、京都北野の西方尼寺の開祖で真盛上人の仏弟子である盛久・盛春両尼にその製法を伝授し、代々同尼寺に伝えられ、天正15年の北野大茶会の時には豊臣秀吉や細川幽斎が食し、それぞれ「茶味に適す」「苔のむす豆」と讃えたと伝えられるという。

 はたして、その姿は・・・毬藻?
 一応、以前からその存在は知っていて、その外見から抹茶がまぶされていると思っていたのだが、封を開けてびっくり「青海苔だ!」
 青海苔の濃厚な香りが漂う。それだけで唾液で口内が湿るが、まさかの茶菓子に青海苔か、と最初から衝撃を受ける。
 いやいや、問題は味だ。茶菓子として本当に青海苔は合うのか?早速頂いてみる。
 おっ、美味しい!
 勝手な予想に反して食感はしっとりしている。外見の先入観と『豆』という商品名から、どちらかというとおかきのようなカリカリした食感を想像していたのだが。原材料をみれば「砂糖・大豆粉・丹波産黒豆(黒大豆)・青海苔」のみ。なるほど、砂糖を混ぜた大豆粉を固めて作っているのか。だからこのしっとり、ねっとり感。中心の豆もポリポリせずに柔らかい。
 香りほどに主張しない、程よい青海苔の風味。個人的に好む豆の香ばしさは感じないが、茶菓子らしい品の良い甘味がじんわりと口内に広がる一品。

 甘いお菓子に青海苔って全然おかしくないんだ、という発見。伝統菓子故に昔から知られていただろう組み合わせを「今更」と思われるかもしれないが、それが真盛豆を口にした素直な驚きであり、新鮮さを以て受け止めた。
 その深き緑の衣は、改めて感じる『茶菓子の奥深さの象徴』のようでもある。
 そんな深~い茶菓子の真盛豆だが、個人的には型っ苦しいことを抜きにして普段向きのおやつとしても癖になりそうな美味さだ。

(2012/06/17)

金谷正廣ホームページ⇒http://shinseimame.com/

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