<無花果ドラジェ・果瓜乃ドラジェ>
<店舗名:蒼穹>
<価格:無花果/680円・果瓜乃/540円(税別)>
まず、字面のかっこ良さに興味を惹かれた。
無花果=いちじく
果瓜乃=からの、と読むらしい。商品では、果=松の実で、瓜=ひまわりの種、かぼちゃの種を表しているらしい。
ドラジェ=「アーモンドに糖衣をかけたもの。アーモンド以外にピスタチオやリキュール、マジパン・チョコレートなども用いられる。」――デジタル大辞泉より
つまり、いちじくを糖衣で包んだものと、松の実、ひまわりの種、かぼちゃの種をそれぞれ糖衣で包んだ、お菓子ということね。
なるほど。早速頂いてみる。
まず無花果ドラジェ(写真左)
見た目に美しい。無駄なものをとことん剥ぎ落した、洗練美とでもいおうか。
封を開けると、ほとんど香りはしないのだが、僅かに甘いか?当然、砂糖の香りだろう。
そして糖衣は硬い。前歯で割ろうと思ったが、ちと厳しい(奥歯だったらガリガリいけた)。
とりあえず口に放り込んで頬張ってみた。うん、甘い。砂糖だ。砂糖の塊だ。舌の上でひたすら転がす。すると、やがて糖衣が溶けて中の無花果が現れてきた。
無花果は乾燥したものを使っているようで、食感はグミのよう。咀嚼していると無花果の風味がふんわりと溢れ出す。砂糖の甘味とは違う、無花果の甘味・・・というか、やっぱり風味と言い表すのが適当な味わい。そしてなによりも、無花果の種がプチプチして楽しい。糖衣の面の硬さとは違って、多数の点の硬度が食感に楽しい。
次に果瓜乃ドラジェ(写真右)
見た目・・・激流に磨かれた河川の石の様。
一番大きいのが松の実で、中くらいのがかぼちゃ、一番小さいのがひまわりだそうだ。
それぞれを食べてみた。共通点は甘い。これは間違いない。
その中でも、それぞれの実の風味はしっかりとしていた。個人的にはかぼちゃの実が普段からも好きなので、ここでもかぼちゃの実が一番の好みだった。
ドラジェというお菓子の形態上、どうしても甘い。だって、砂糖だもの。
その中で光るのは、その洗練された形状であろうか。色彩を伴わないのも、また洗練さを増している。いっそ、無機質でさえある。
風味もまたシンプルだ。砂糖の甘味を置いといて、糖衣に包まれた無花果、またそれぞれの実は、それら本来の風味をそのままに閉じ込め、口内で姿を現しふんわりと香る。
まさに無駄がない。菓子というジャンルの表現として、一つの洗練美の極地を表しているようだ。
ドラジェとは、元は洋菓子であるが、その名に似合わずに京都の地では禅味を宿すようだ。