「京都検定1級合格者のつどい」

 

 第6回京都検定1級に合格した!という余韻は、はや一夜漬けの知識と共にすっかり薄れきってしまった今日この頃、桜も少しずつ花弁を開き始め、人々の目を楽しめる季節となった京都は東寺にて「1級合格者のつどい」というものが執り行われた。どうやらこの集いは毎回行われ、その都度場所を変えているようだ。小耳に挟んだところでは以前は京都迎賓館の見学なども行われたようで、今回は東寺がその会場と選ばれたようだ。集いの趣旨としては「更なる知識の習得と相互交流の機会としていただくため」とのこと。
 折角の機会、及び参加費無料で昼食もいただけ、更に東寺の第256世長者である砂原秀遍師の法話を拝聴でき、東寺境内も案内いただけるとあって、これぞ1級合格のご褒美とばかりに参加することにした。

 午前11時過ぎに東寺境内にある洛南会館に集合。出席者は今回の1級合格者48名中40名とのことで、見渡す限りの1級合格者。。。なんだろう、マニアックな話題を振られたらどうしようというこの不安感。。。基本的に小心者の上、上記の通り一夜漬けの知識なんぞ大部分がとうに薄れてしまっているので・・・とりあえず懇親会場の隅っこで息を殺していた。。。これじゃ懇親会もあったものじゃない。配布された資料に目を通しつつ会場を見渡すと、出席者の大部分がご年配の男性。女性はほんの一握り。
 京都商工会議所の方の司会で始まり、京都検定委員会の方々の、及び京都検定講習会で講師を勤めている岩上力氏(講習会に出席したことがないので、いまいちピンとこなかったが・・・)のスピーチを終え、昼食をかねた懇親会へと移行した。出された昼食はなかなか豪華。京都の食事屋さんで出されたら、3000~3500円の値段がつくと見た(あくまでも直感)。味もなかなかよし。しかーし、一応懇親会ということで周りの方と話をしなければという使命感の元に食事に集中できず。味わって食べられなかったのが残念でならない。

 1時間程の懇親会の後に、場所を客殿に移して東寺の第256世長者(住職)である砂原秀遍師の法話を拝聴した。内容的には砂原師の生い立ち(淡交社出版の古都巡礼京都「東寺」に砂原氏が寄稿内容に沿ったもの。ちなみに本は今回の資料として貰えた。単純に嬉しい)であったり、洛南高校の変遷。また皇室との関わり。もちろんそれぞれは弘法大師や密教についての話を絡めたもので有難く拝聴した。中でも興味深かったのは砂原氏が東寺に入られたのは昭和32年ということだが、その頃の東寺は随分と荒廃していたのだという。今の整備された東寺しか知らない人間にとっては想像もできない事実だが、その分これまでのご苦労が知れるというものだ。最後に砂原氏が時間の都合上やむを得ず席を立たれた際に「本当は八幡神についても語りたかったのだけど」と仰ったのを聴いて、弘法大師と八幡神との関わりこそ一番興味深いところだっただけにぜひとも拝聴したかったと残念でならない。

 法話の後は境内の特別見学。まずは客殿の南側にある小子坊内の説明を東寺の僧侶の方から受ける。それにしても管理人は以前東寺の近くに住んでいたことがあり、境内にはよく訪れていたのだが、客殿といい、小子坊といい入るのは初めてだ。いや、ありがたい。
 小子坊は6つに間取りされていて、各部屋には堂本印象画伯による障壁画が飾られている。その部屋を一部屋一部屋案内していただき、最後に天皇皇后両陛下を迎えることもある「勅使の間」を拝見。極彩色に彩られた障壁画は見事であり、また一段高く上げられた畳の上に置かれた主を迎える2つの錦の座布団が高貴さを漂わせていた。
 次に御影堂(大師堂)を訪れ説明を受ける。ここで案内していただいた僧侶の方から「皆様が発信していただけたらありがたい」と仰られたので、とりあえず。東寺では弘法大師の命日である21日に弘法市というものが境内で開かれるのだが、どうしても訪れる人の目的は露店へと向いてしまう。けれども、本来は御影堂で行われる御影供がメインでありますので、ぜひとも弘法市に訪れた際には御影堂へお参りくださいますよう、とのこと。なるほど確かに、管理人もそれは怠っていました。申し訳ない。。。
 次に回ったのは宝物殿。通常は500円のところ、もちろん無料。ありがたい。次に五重塔に向かうのだが、ここに入るのも通常は500円だが・・・いや、ありがたい。
 五重塔に向かう途中、修理中の東大門の説明を受け、更に境内を囲う築地塀の中を見せていただいた。本来築地塀は最上部まで土を付き固めて造るものだが、現在では北側の一部だけがその構造を保つだけで、他の築地塀の中は空洞となっているようだ。現に見せいただいた築地塀の中は空洞で、なにやら物置となっているようだった。
 五重塔の内部は現在修復工事中とのことだったが、それでも中に入り説明を受ける。次に金堂へ向かうのだが、その途中にある側溝のところで説明を受ける。側溝の中に一箇所だけ石が突き出た部分がある。なんでもそれは東寺建立当時に金堂の南側にコの字に存在していた僧坊の礎石なのだとか。こんなところにも歴史が一つ。
 金堂では薬師如来を「なんでもできる総合医」と例え、脇持の日光菩薩を「日勤」、月光菩薩を「夜勤」と例えたのには思わず笑ってしまった。
 最後に弘法大師が最も力を注いだといわれる講堂へ。やっぱり四天王はかっこいいなぁと眺めつつ、お不動さまに手を合わせつつ、説明を受けてここで1級合格者のつどいは終了し解散となった。

 集いの目的である交流という意味では結果的に管理人の性格上いまいちな結果に終わったが、なかなか楽しかった。
 これを毎年違う場所で行うとなると・・・もう試験を受ける必要はないと考えていたが、何度も試験を受けて1級を合格している人の気持ちがわかるかも。普通では訪れることができない場所に訪れることができたり、貴重な話を伺えるというのは本当に貴重な体験だ。さて、どうしようかな。。。
 ところで、どなたがお話していたかはすっかり忘れてしまったのだが、やはり第6回の問題は難しかったということで、次回は若干レベルを抑えていこうかと、というお話をしていた。嘘か本当かはわからないが、今年の第7回京都検定は1級合格者のつどいに参加する絶好のチャンスかも!

(2010/03/28)

京都・観光文化検定試験公式ホームページ⇒http://www.kyotokentei.ne.jp/

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