「2010桜見物」

 

 4月某日。快晴!!

 今年は天候不順で農作物の実りも悪いらしく、日々高騰する野菜に溜息の一つも出したくなるような日々が続いていたが、桜についてもまたしかり。寒暖差が激しく、満開の時期がとても読みづらく。また例え満開の時に訪れても、天候が雨では楽しみも半分になってしまう。
 とりあえず決行日はこの日と定め、後は運を天に祈るのみ・・・
 いやぁ~、あれか?日頃の行いか?と花見に繰り出した何万人が思ったことだろうか。見事なる快晴!意気揚々と京都に乗り込んだ。

 

上賀茂神社

 まず訪れたのは上賀茂神社。もちろん目的は桜なのだけれども・・・花より団子。。。
 But!しかしだよ!売り切れって・・・
 久し振りに味わいたかった神馬堂の焼餅。焼きたての温かい焼餅を上賀茂神社境内にある、ならの小川のせせらぎを聴きながら味わうのが密かな楽しみであったのに・・・
 いや、知っていましたさ。この神馬堂が観光シーズンだからといって製造量を増やすようなお店ではないことを。それを考慮に入れても12時行けば大丈夫だろうと。・・・甘かった。さすが神馬堂・・・
 仕方ないので(と書いてしまうと失礼だが)葵家やきもち総本舗で焼餅を購入。冷たい・・・
 神馬堂ショックを引きずったまま、上賀茂神社の境内へ。
 だが、落ち込んだ気持ちも上賀茂神社の広々とした景色を見ると少しは立ち直る。やっぱりここは開放感があっていい。南の鳥居から入って右手に桜が咲き、その下ではピニールシートを敷き花見をしている人々がある。けれど、円山公園のような騒々しさはない。さすがに神域なのでわきまえているのだろう。
 ひとまず本殿に向かい、久々に訪れたご挨拶。
 挨拶を済ませたなら、景色を眺めながらぶらぶらと境内を歩き、ならの小川へ。いつもの定位置に腰を下ろし、作ってきたおにぎりを頬張る。うん、いつものお米も食べる環境を変えるとこれだけ美味しく思えるのだから、人間の味覚っていうのは大概適当なものだ、と自分の馬鹿舌を棚に上げて一人納得してみたり。
 食後に購入した焼餅を。白とよもぎを一つずつ。まぁ、目的のものではなくなってしまったが、これはこれで美味しかった。
 さて、肝心の桜といえば量こそ多くないが、青空に映える白桃色の姿は美しかった。

上賀茂神社ホームページ⇒http://www.kamigamojinja.jp/

 

賀茂川

 上賀茂神社の境内を出ると、一路賀茂川沿いに南へ向かって歩き出した。
 いやぁ、それにしてもいい天気だ。上は青空、右側には賀茂川の水に緑、そして左手に続く桜道。散歩日和とはこのことで。
 な~んもない。歩いていて、ただ気持ちいい。
 春ですなぁ~。。。

 

半木の道

 賀茂川沿いに北山大橋まで南に下ったところで堤防を上がる。
 その道は「半木の道」と呼ばれ、京都でも有名(京都検定公式ガイドブックにも載ってる!)な散歩道であり、桜の名所でもある。今回の桜見物のメイン!でもあったのだが・・・うーん、どうも満開には少々早かったようで。頭上に木組みが設置されているところをみると、紅枝垂れ桜が頭上を多い回廊のようになるのだろうが、この日はどうも疎ら。部分によっては頭上から右手に垂れ下がるように青空を遮る覆いとなって見事だったが、少々迫力には欠けていたような。ただ、時期が合えばさぞかし見事なのだろうという想像は充分にできた。
 しかし、さすがに有名どころだけあって人が多い。

 

府立植物園

 半木の道の東側には府立植物園がある。折角なので入ってみることにした。
 府立植物園は大正13年(1924)1月1日に「大典記念京都植物園」として開園したというから、なかなかの歴史を持つ。園内には多くの植物が季節ごとに訪れた人々の目を楽しませるのは当然のことながら、敷地内には半木神社というお社ががあり、この半木神社こそ植物園までの道程で歩いた「半木の道」という名称の元になっている由緒あるお社だ。
 入園料は200円と格安。
 南門から入り北へ向かって歩いていくと、早速に真っ赤なチューリップが群れるように咲き誇っていた。そしてその先には桜ゾーンがあるのだが、これがまた見事に満開。まさに春、ここにあり!といった光景だ。しかし・・・植物園内なのに桜の下でビニールシートを敷いて花見をしている人が多い。なんかこういう施設では花見とかしてはいけない先入観があったのだが・・・いいんだ。
 それにしても見事。植物園と名乗るだけに、そう簡単には樹木のことで他に負けていられないという気概がなにやらにじみ出ているような力強さを感じた。
 半木神社にご挨拶し、一通り園内を回ってみた。まぁ・・・200円だなと納得。余程植物に興味があるとか、スケッチにでも来る目的があれば話は別だが、まぁ個人的には好んでくることはないな、という感想。いや、綺麗は綺麗なんだけど・・・さ。

府立植物園ホームページ⇒http://www.pref.kyoto.jp/plant/

 

 2010年の桜見物は以上。
 最初は神馬堂ショックでどうなるかと思ったが、なによりも天候に恵まれた。これだけの晴天の下で満開の桜を眺めながら歩ければ、春の陽気に気分は舞い上がり、ちょっとしたショックなど簡単に吹き飛んでしまった。
 今回の管理人の一押しは、やはり賀茂川沿いの道だろうか。本当にこの日は散歩日和で、犬の散歩をしてる人と何人か擦れ違ったが、この道が日々の散歩道なんだろうなと思うと、人も犬も羨ましく思えるほどに気持ちよかった。
 次は府立植物園。植物に関しては間違いない。
 上賀茂は元々桜の名所といった場所ではないので桜だけで考えるとインパクトには少々欠けるが、それでもあの開放感に溢れた境内はやはり素晴らしい癒しの空間だ。一方半木の道は有名で期待も大きかった分だけ少々評価が辛口になってしまったかもしれない。また有名どころの性として、やはり人の密集度の高さが桜を味わう心のゆとりを奪ってしまっただろうか。どうもいまいち桜の印象が残らなかった。

 感想は色々あるけれども、今年もまた美しい桜の姿を見ることができて満足。
 天候不順は続いているが、これで暑い日々を迎える心の準備ができたというもので。

(2010/04/21)

京都にてのあれこれへ トップページへ