<旅奴>
<店舗名:御倉屋>
<価格(税込):972円(一袋)>
「旅奴(たびやっこ)」という商品名を聞いて、まずイメージしたのは「旅」というフレーズから携帯食。旅のお供に小腹がすいたらどうぞ、みたいな。
で、実際に旅奴という商品名はどういう意図でつけられたかというと、大名行列の「奴(やっこ)」から付けられたそうで「旅のお供に」という意味を込めているそうだ。
なるほど、正解。
大名行列の奴といえば、侍に仕える中間が多くその役目を勤めたそうだ。そして湧いたイメージが、ご主人が小腹を空かせると、颯爽と現れ「どうぞ私を食べてくだせぇ」と頭部の一部を割って主人に差し出す旅奴マン!(完全にアンパンマンの流れ・・・)
旅奴マンの頭部は小麦、卵、砂糖を混ぜ練り上げたものを焼き上げ、それに波照間産の黒糖を絡めてできあがっているのだという。
なるほど、旅のエネルギー補給にはもってこいのようだ。
では、お言葉に甘えて頂こう。
見た目は丸いかりんとうのよう。ただし、かりんとうのように揚げてはいないので艶はない。ギラギラしていない、素朴な外見。
封を開けて漂うのは、黒糖の香り。
一粒の半分を齧ってみる。食感は――イメージしていたのは堅めのクッキーのようなガリガリという食感だったのだが――ぱっ、ぱふ?
サクサク、ではない。かといってしっとり、というのは正しくない。その中間?表現は良くないが密度の高いパサパサのカステラ、のような。
なので、歯を立てて食感を楽しむ感じではない。どちらかというと黒糖の風味を感じながら口の中で転がし、しっとりさせて味わうような感じが丁度よいだろうか。
見た目、風味食感、と突出した派手さはないが、まとまって安定し、味わいある美味しさを感じた。
「初霜や 過ぎにし人を など思う」
前書きに「旅奴をめでつつ」とした中村汀女の句が御倉屋のパンフレットに印刷されていた。
「過ぎにし人」とはどんな人であったか。
それはきっと、素朴な、朴訥な、けれども味わいのある人であったのではないだろうか。
そう――旅奴マン。
旅のお供に、旅の思い出に。
有難う、旅奴マン。