あんぽーね

<あんぽーね>

<店舗名:京都祇園あのん>
<価格(税込):1500円(5個用)>

 

 近頃は、モノ消費から、コト消費へと観光の需要が流れているそうだ。つまりは「体験」が注目さてているという訳だ。
 例えば食品に例えてみるとどうだろう。
 食品での体験といえば、代表的なものに手巻き寿司があるだろう。自分で海苔に寿司飯を敷き、お好みの具材を添えて巻いて食べる。ただ食べるだけではない「作る」ということを体験できる仕組みだ。以前紹介したAWOMBの『手織り寿司』も、独自の具材が魅力的なのは当然だが「自分で作る」という体験を組み合わせることによって人気を集めているように思える。
 そんな時流に乗ったのか、今度は最中を手作りできる商品が現われた。それが今回紹介する京都祇園あのんの『あんぽーね』。
 自作体験は楽しみとなるか、はたまた面倒で終わるのか。。。

 箱を開けて、最中種と瓶詰の餡とクリームが並んでいるのを見ると・・・まぁ、わくわくはする訳ですよ。こんな商品見たことがないので。
 最中種は・・・うん、最中の香り。材料はもち米。
 あんこは粒餡。餡子の香りがしっかりとする。
 クリームはマスカルポーネチーズを使用した自家製クリームとのこと。ほんのりとチーズの香りがする。
 では、早速同梱されていた木製のへらを使い、まずは餡子を壜から取り出し、最中種に詰め込む。・・・このぐらいかな?
 次いでクリームを同じように別のへらを使い取り出し、最中種の餡を詰めた隙間の空間に詰め込む。・・・こんな感じでいいのかな?
 最中種を重ね合わせ、お手製最中の完成!この作業・・・うん、なかなか楽しいじゃないか。
では、頂く。
 最中種はさっくりと歯切れよく好ましい食感。粒餡は比較的形を崩しているので粒感は乏しく、なめらかさが強い。クリームはねっとりと。
 いざ、風味は。最中種は香ばしく最初のアクセントとなり、噛み締めるほどに餡とクリームの風味が交互にやってきて、次第に溶け合いとてもクリーミーな風味となる。餡に合わせるようにクリームを調整してあるのだろう、とても餡とクリームの相性が良いように思われ、最後まで餡とクリームそれぞれの風味を活かしたまま、独自の味わいとなっている。
 なるほど、今までに味わったことのない最中で美味しく――そして、なかなかに楽しい一時を過ごせた。餡とクリームの調整ができるのが手作りの醍醐味であり、風味にばらつきが生まれるが、それもまた味わいと思えば面白いものだ。

 片方の最中種に餡とクリームを入れて最中種を重ねると・・・当然、後から重ねた最中種に隙間が生まれる。ということは、重ねる二つの最中種に、餡とクリームそれぞれを詰めて重ね合わせるのかいいかもしれない。と、気付いたのは、全部食べ終えてしまってから。その結果、最中種はなくなったが、餡とクリームがそれぞれ残ってしまった。
 うーん、残った餡とクリームをどうしようかと考えた末、トーストに重ねて塗ってみた。いわゆる名古屋名物小倉トースト?クリーム風味添え?
 食べてみた。おお、合うじゃないですか!美味しいじゃないですか!これは完全に怪我の功名。偶然の副産物。もし同じように餡とクリームを残してしまった方がいたなら、お薦めしたい食べ方。自画自賛!

 「コト」も楽しめる、手巻き寿司ならぬ、手詰め最中。
 自身で楽しめるのはもちろんのこと、「モノ」と「コト」を合わせた贈物として、喜ばれそうな一品。

(2016/11/24)

京都祇園あのんホームページ⇒http://www.a-n.kyoto.jp/

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