湯豆腐会席

<湯豆腐会席

<店舗:熊彦>
<価格(税込):3675円>

 

 折角だから美味しい物を食べたい。それは人間の心情である。
 当初は弁当持参で紅葉見物に向かう予定だったが、友人からの情報により予定変更。かの有名な料亭たん熊の系列店である熊彦嵐山店に行くことにした。

 折角だから。

 当日は雨。気温も上がらず寒さを感じながら入店。予約をしていたお陰ですぐに席に着けた。
 予約しておいた料理は湯豆腐会席。こんな寒い日にはぴったりのチョイスだったと自画自賛。早速いただく。
 料理は写真に従って、一番右の皿がごま豆腐と湯葉。タレとわさび、それと小さな木の実が添えてあり、ゆずが振りかけられている。普通に美味しい。木の実の甘酸っぱさが一つのアクセントになっている。
 次に真ん中のお皿が、サーモンの切り身や刻んだカブなどの野菜に酢をゼリー状にしたものをかけた一品。このゼリー状の酢はツーンとくる酸っぱさはなく、本当に丁度良い酸味と感じた。その酸味に引き立てられたサーモンの切り身が美味しく、これはなかなかと唸らせて頂いた。
 左下の碗はには煮込んだ人参や里芋の他にアナゴやカラシ生麩、隠元、湯葉などに餡をかけたもの。これまた普通に美味しく頂いた。
 上記の碗の上にあるのが湯豆腐のつゆで、しょうががたんまりと下に沈んでいる。ここに鍋の横にある黒胡椒を白ごまをお好みで入れ、湯豆腐を沈めてから頂く。湯豆腐の熱とつゆに沈んでいたしょうがのお陰で次第に体が温まってきてありがたかった。これまた普通に美味しく頂いた。
 写真には写っていないが、この他にもこの湯豆腐会席では野菜の天婦羅か蒸し物。またしろご飯かとろろご飯を選べるようになっている。管理人は野菜の天婦羅ととろろご飯を注文した。天婦羅は普通に美味しい。ただその中で、くわいと思われる天婦羅だけは一味違った。実は管理人はくわいというものを今まで余り意識して食べた記憶がなく、それどころか食べた記憶さえなかったのだが、偶然にしてこの二日前に別の場所で初めてくわいというものを意識して食べ、更にこの日の夜にも別の場所でくわいを食べたのだが、三種三様の味ではあったのだが、管理人としては熊彦で食べたくわいが一番美味しかった。なによりも甘いのだ。おそらく熊彦のくわいはなんらかの下ごしらえの上で天婦羅にしているように思うのだが、料理素人の管理人にはこれ以上の想像はし難い。それでも素直に美味しかった。正直、今回の湯豆腐会席の中で一番インパクトがあったといってもいいだろう。とろろご飯は普通に美味しかった。
 ごちそうさまでした。
 と、なにかこう書いてみると、ほとんどが「普通に美味しかった」となってしまったが、それは期待の高さ故と思って頂いて構わない。このぐらいの値段を取るのだから、これだけ美味しいのは普通だろう、という感覚だ。もしこれだけの料理が1000円ならば、どれだけ管理人は狂喜乱舞していることか。
 美味しかった。本当に普通にそう思う。

 ただ。。。
 昼食にこの値段は小市民である管理人には高額である。故に、その目が店に対して厳しくなるのも仕方なくはないだろうか。料理は良い。が、気になる点が3点ほど。
 一つ。お店の方が当然配膳してくれるのだが――この時期忙しいのはわかる。だから雑になってしまうこともあるのだろう。けれど客はそれを見逃さない。特に、高い金を払っているという被害妄想?に勝手に苛まれている管理人のような人間には。配膳する時は、最後までその手元を見て食器を置かないと、食器が鳴って凄く雑に扱っている様に見られますよ。まぁ、これは店というよりも個人の問題なんだろうが、管理人には随分と雑に扱うなぁと感じてしまった。
 二つ。普通トイレの男女兼用の場合、トイレは一つで当然鍵がかかる。ところが熊彦1Fのトイレは通常の男子トイレのような作りなのだ。だから当然男性が立ったままで用をたしているところに女性が入ってくるという場合がありえる。その扉に鍵はない。今時あり得ないだろう。管理人は非常に驚いた。何も考えないのだろうか店側は?不思議で仕方がない。
 三つ。会計する際、対応する店員のおばちゃんがいるのは区切られた別室で、その窓から顔を覗かせてレジを打っているのだが、その位置がなぜか高い。だから客は見下ろされているような感じになる。見上げながら金を払う。なんかすご~く違和感。
 これが伝統なのだろうか。これが料亭の本来の姿なのだろうか?現在の外食店舗を見慣れた管理人にはどうも理解できない店の造りに思えた。

 小さいな!そんなの気にする必要ない!という方であれば、料理は美味しいので間違いはないと思う。
 気になる方でも、そんな細かいところに目を瞑ってしまえるなら一度訪れてみるのもよいかもしれない。
 ただ、管理人のような偏屈な人間には料理意外の部分で少々鼻につくことがあるかもしれない。

 折角なんだから。

(2008/11/26)

熊彦ホームページ⇒http://kumahiko.com/index.html

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