西陣風味

<西陣風味>

<店舗:千本玉壽軒>
<価格(税込み):1050円>

 

 京都の西陣といえば、西陣織がとっても有名。そんな西陣織の反物をイメージさせるようなお菓子が、今回紹介する千本玉壽軒の「西陣風味」だ。その名前からして西陣織の優美さを和菓子にしたらこうなりました、といった感じだろうか。では、こちらも優美に頂こう。

 包装を解くと、中に漉し餡を羽二重餅で包んだロール状のものがふた切れ入っている。その姿は、なるほど、丸められた反物の形状に似ているだろうか。だが本物の西陣織とは違いとっても質素な感じ。それでも透き通るような餅の白さに気品を感じてしまうのは思い過ごしだろうか。またロールの側面には雪の結晶のような氷餅がまぶされていて、これが唯一の飾りという感じがするが、菓子自体がシンプル故にこれだけの飾りでも充分に風情が備わるから不思議だ。雪化粧の風情とでもいおうか。
 餅の香りが漂う。餡には黒ごまが入っているというから香ばしさが漂うかと思ったが、臭うほどではないようだ。
 一口サイズをもったいぶってとりあえず半分だけ頂く。まず感じるのは餅の風味と柔らかい食感。更に噛んでいくと餡の甘味が薄っすらと広がり、口内で溶けるように滑らかになっていくと最後に水飴の程よい甘味が印象深く残る。その味の移り変わりは、まるで色彩豊かな西陣織の艶やかさに似ているだろうか。と、優雅に語ってみたり・・・
 また口当たりとしては側面にまぶされた氷餅が舌に触れる感触が小気味よく、よく知りもしないのに風情を語ってみたくなる。触れた瞬間は張りがあるのだが、次の瞬間には溶けて消えてしまう。本当に雪のようだ。
 うん、美味、美味。うんめ~!と、のた打ち回るほどの強いインパクトがある訳ではないが、しっとりとした気分で「おいしゅう御座います」といった感じだろうか。
 うん、 風味よし。
 ただ、個人的な嗜好を言わせて貰えば、黒ゴマを入れているならばもう少し黒ゴマの存在を表にだしてもよかったのではないかとも思った。そしたら もっと風味も格別になるのに……と、野暮かもしれないがゴマ好きの管理人としては、ちょっとその部分だけが寂しく思えた。

(2009/04/28)

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