やきもち

<やきもち>

<店舗名:神馬堂>
<価格(1個)120円>

 

 神馬堂の「やきもち」といえば、様々な京都関連雑誌に取り上げられ、今更語る言葉を必要としない京都有数の名物菓子だが、二つ難点を上げるとするならば、一つは場所。上賀茂神社の門前にある為、辿り付くのになかなか苦労する。車でもあれば別だが、公共の交通機関を使うようであれば、辿り付くのに時間が掛かる。二つ目の難点は、販売数が限られていて完売次第閉店となってしまうことだろう。管理人も何度かその憂き目にあっているが、時期にもよるが早ければ午前中にはもう店じまいをしてしまう。
 美味しさ故の難点とでも言えるだろうが、遠いところやっとたどり着いてみたら売り切れというのは、なんとも嘆かわしいことだ。
 ところが今回、その問題が解決されていることに初めて気付いた。なんてことはない、四条にある大丸百貨店で売っていたのだ。久し振りの再会を喜び、見付ける間に手に取って会計を済ませた。

 店頭に置かれ、かつ帰宅後に封を開いたので「やきもち」は完全に冷え切ってしまっていた。ここは当然温めて食べるべきだろうと、オーブンで温めてから頂くことにした。
 早速一口。うん、美味しい。のだが、記憶にあるやきもちとどうも違う。まず第一に餅の弾力がよろしくない。ちゃんと温めたにも関わらず、餅の粘りがいまいち感じられない。それと「やきもち」が持つ香ばしさが失われてしまっている。もちろん、焦げ目をつけるように長時間オーブンに入れて置けばいいのかもしれないが、以前食べた時に感じた好ましい香ばしさとは、それとは違うように思える。
 餡子の甘味の絶妙さ、そういった所はうんうんと頷けるのだが、上記2点において、どうも思い出の焼き餅とは違っていた。
 では、思い出の「やきもち」はといえば、上賀茂の店頭で買って上賀茂神社の瀬見の小川の傍らに座を確保し、まだ温かい状態の「やきもち」を頬張る。すると、焼き目の香ばしさが鼻に、口内に漂い、モチモチの餅がびろんと伸びる。ああ、なんて美味しいんだろう、と感想を漏らした思い出。
 もちろん食べるシチュエーションというのも関係してくるだろうが、やはり食品の多分に漏れず「やきもち」も『できたて』がなによりか。

 こうしてみると、最初に語った難点。やはり、この難点を乗り越えていかなければ最高の状態の「やきもち」には出会えないのだろう。
 『恋い焦がれ、やきもち宿る、香ばしさ』
 食べたければ、上賀茂まで行くしかないでしょう!

 「やきもち」登場作品:京都にての物語「上賀茂神社~禊~

(2012/02/16)

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