<千寿せんべい>
<店舗名:鼓月>
<価格(1枚)126円>
ヴァッフェル生地って何だ?
と思って調べてみたら、どうやらワッフルのドイツ語読みだそうだ。
ワッフルっていったらベルギー。そして形は格子状の物をイメージしがちだが、日本のお菓子屋さんが作り出すヴァッフェル生地は、見た目にワッフルを想像できない、波型の形状であることが多いようだ。
そんなヴァッフェル生地を利用した京都で有名なお菓子が、今回紹介する鼓月の千寿せんべい。その誕生は昭和38年というから、堂々のロングセラー商品だ。
『千寿』という名称は、千代の寿ぎを願っての波間に飛鶴の影が映る姿をイメージしたという、お菓子そのものの姿からきているとのこと。
では頂く。
意匠の意味合いは置いておくとして、ギザギザの形状は規則正しく、また良い食感を思わせて食欲をそそる。
小麦の香ばしい香りが漂い、単純にいえばクッキーを手にした時と同じ感覚。
とりあえず、かぶり付いてみると、ギザギザの谷間に沿って綺麗に割れた。この瞬間、どうでもいい話だが、個人的に整然とした割れ目を美しく思う。。。で、問題の食感はというと、堅焼きのクッキーといいた感じ。食感至上主義?の個人的嗜好に当て嵌めれば、このサクサク、ポリポリという食感はたまらない。一応、名称に『せんべい』とついているが、これはきっと、あくまでも消費者に堅さをイメージさせる方便であって、通常知るせんべいのボリボリ、バリバリという食感のイメージとは重ならない。
味はというと、もちろん小麦の香ばしさ、そしてヴァッフェル生地に挟まれたシュガークリームの程よい甘さが口内に広がる。個人的な嗜好でいえば、もっと多めのクリームを下さい!という大雑把な感想は抱いたが、それはそれで職人の繊細な計算が働いているのだろう。
とても美味しく頂きました。
その姿は飛鶴の影を映す波間だという。そうすると、その円形が見立てるのは池か、湖か、はたまた大海か。そんな豊かな水に抱かれたシュガークリームは、そこに生きる生命そのものか。
鶴が寿ぐは生命だとするならば、そして菓子の菓子たる所以を甘味とするならば、主役のシュガークリームが寿がれる『千寿せんべい』は、まさに和菓子故に表現しうる、とっておきの縁起物といえるだろう。
美味と共に、あたなたに千代の寿ぎを。