<京のかりんとうまんじゅう>
<店舗名:かりんとう処 玉や絲や>
<価格:(6個)630円>
かりんとう――それは甘い物。カリッとした歯ごたえの物。
まんじゅう――それは甘い物。ふっくらとした物。
かりんとうまんじゅう・・・一体、どんなんだ?
気をてらっているようで、それに乗っかるのが少々癪で、前々から気になってはいたのだけれども購入までに至らなかったのだが・・・気になり続けた結果、結局購入してみた。
果たして、この購入への躊躇は正しかったのか、無駄な躊躇だったのか。。。
黒く艶のある表面には黒ゴマがまぶされ『かりんとう(黒糖の)』に近付ける演出が伺える。
封を開けると、黒糖風の香りが漂う。これまた、まるで『かりんとう(黒糖の)』の封を開けた直後のようだ。
では、早速一口。
表面の照り具合から、また『かりんとう』というイメージから若干の歯ごたえを期待していたのだが・・・食感は『まんじゅう』のイメージだ。表面も含めてしっとりとし柔らかく、噛みついた歯をすんなりと通す。
さて、ここまで見た目、香りは『かりんとう』で、食感は『まんじゅう』に近いが、味はどうだろうかというと――
最初――まぁ、甘い。黒糖風な甘味と、漉し餡の甘味と。それからシナモンの風味か。ところが驚きは、少々後からやってきた。これは苦いぞ!もちろん、顔を歪める様な苦さではない。舌の上で若干の存在感を玉のように発揮するような、かるーくパンチのある苦み。なんの苦みだろう?とパンフレットを見れば生地の中に『こがし蜜』が練りこまれているとのこと。ああ、これが黒糖風の香り、風味と苦みの正体だったんだ。
この苦味、ちょっと癖になるかも。
美味しかった。という以上に、面白い!
かりんとうまんじゅうという名に、わからないながらも「こんな感じだろう」という、ある程度の想像はしていたのだが、『こがし蜜』を生地に練りこむことによって、その想像を一歩超えた風味があり、その裏切り感がなんとも言えない作りの面白さを感じさせてくれた。
制作した職人の思惑に乗るまいと購入に二の足を踏んだにもかかわらず、結局まんまと職人さんの手の上で転がされた感じだ。
いや、参りました。
この苦味には、想像を裏切る美味さがある。