栗デニッシュ

<栗デニッシュ>

<店舗名:比沙家>
<価格:1620円(税込)>

 

 ある偶然を、人は時に運命と感じてしまうものだ。
 例えば一日の早い時間に「完売」という立札が売場に置いてあったとする。そうすると「ほほぉ~、こんなに早く完売するなんてどんな商品なんだ?」と気になってみたりする。その商品のポップなどを見て「なるほど、美味しそうだ」なんて思ってみたりする。この時点で、興味は湧いている。そしてほんの僅かの時間、その場を離れてたまたま戻ってきたとする。すると、ついさっきまで置かれていた「完売」の立札が外されて商品が陳列されていたならばどうなるだろう。
「これは運命?」「買え、っていう、ナニ様からのお告げ?」
 そう解釈する人間がいたとしてもおかしくないだろう。
 ええ、買いました。

 一斤売りなので、正直こんなにもいらないのだが・・・とも思ったが、そこは割り切る。
 透明の封から覗く姿は、香ばしそうに焼き上がっているのが見て取れる。
 封を開ける。バターの香りを強く感じた。そして割ってみれば、栗の香りもしっかりと感じられた。
 では、まずはそのまま頂く。
 生地のふんわりとした食感。栗のほくほくとした食感が明確だ。
 生地は和栗ペーストを練り込んでいるようでふんわりと栗の風味が漂い、バターの風味と合わさって豊かさを増すが、がっつりと栗の実に出会うと栗の風味が前面に出てきてしっかりと広がる。
 うん、このままでも美味しい。

 次にトーストしてみた。
 おお、甘い香りが漂い出てきた。これは生地の和栗ペーストとバターの香りだろう。ただし、栗独自の香りには変化はないか。
 外側はサクっと。中はほんわりと。食感は間違いなくトーストした方が好ましい。
 食べてみれば、栗の甘味が明らかに増した。栗が主役であるディニッシュである以上、最大限に栗の風味を引き出すという意味ではトーストをお勧めする。
 うん、美味しい。

 栗とデニッシュの出会い。まぁ、物珍しさはないかもしれない。
 けれど「京やきぐり」を販売する比沙家が作るデニッシュだけに、何よりの特徴はふんだんに使われる栗の重みだろうか。
 とにかく重量のあるデニッシュ、という感覚が残った。
 もちろんその重量こそが、この商品のウリであり、美味しさの証明といっても過言ではないだろう。

(2015/03/15)

比沙家ホームページ⇒http://www.kyo-yakiguri.com/

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