「2012紅葉見物(1)」

 

 今年も錦秋の時期がやってきた。
 ということで、11月某日、紅葉見物の為に京都の地に降り立った。
 降り立った場所は、阪急桂駅。ここで、人生初のレンタサイクルってやつを試してみた。
 用意されたのは見事なママチャリ。変速ギア無し。
 そして地図は、10年以上愛用しているポケット地図。NOデジタル!
 いざ、ペダルを踏み込まん!とりあえず、目指すは北の方向!

 

松尾大社

 まず訪れたのは松尾大社。
 紅葉の名所という訳ではないが、山に包まれた地形から背後の山が色づいてたりしないかな、と思って訪れてみたのだが、見事な緑の木々。色付いていたのは境内の数本だけで、紅葉を目当てにするには少々物足りなかった。

松尾大社ホームページ⇒http://www.matsunoo.or.jp/

 

月読神社

 松尾大社から南下して、次に訪れたのは月読神社。
 こちらも松尾大社同様、山に囲まれた地形から紅葉の景色を期待して訪れてみたのだが、やはり衰えぬ山の木々の緑。簡単にいえば、紅葉に適さない、ってのも変な言い方だが、生えている木々の種類がこちらが期待するものとは異なるのだろう。
 こちらは鳥居前が薄らと赤らんでいたのと、境内には写真の赤が一本ぽつり、と。

京都にての地図(googleマップ)

 

華厳寺

 更に南下して、今度は華厳寺、通称鈴虫寺を訪れた。
 って、なんだ?境内に入るのに並んでいる。この日は平日だったのだが・・・
 仕方ないが、ちょっと並んでみた。が、全然進まない。どのように観光客をさばいているのかもまったくわからない状況で、早々に嫌気が差してしまった。
 今年の見物のメインではなかったこともあり、門前の紅葉だけを撮影してさっさと行列から離脱。それでも、門前の紅葉も充分に美しく見えた。

華厳寺ホームページ⇒http://www.suzutera.or.jp/

 

地蔵院

 次に訪れたのは地蔵院。通称竹の寺。
 竹が有名なお寺だけに、それと観光バスが入ってこれないような生活道路の中にあるので観光客の姿はほとんどなかった。
 拝観料が600円と若干お高く感じたのは小市民故だが、本堂へと続く竹の参道は静寂に包まれ心地良く、いざ本堂前にやってくると竹林では遮られていた日差しが本堂へと降り注ぎ、更に周辺の紅葉が鮮やかに輝いていた。なんと緩急の効いたこの演出!見渡すばかりの、というような観光名所の壮観さはなかったが、禅寺らしい収斂的な美の景色を味わった。
 なお当寺には「十六羅漢の庭」という方丈庭園があり、そこは撮影禁止の為に写真に残すことはできなかったが、幸いに独り占めにできたのでのんびりと鑑賞してきた。最も高いところに紅葉があって、その下方に庭園の樹木の深緑の葉が茂り、地面には苔むす。小さな鳥が多く遊び、その鳴き声がまた心地良い一時のアクセントとなった。
 帰り際、一匹の猫を見かける。人慣れしているのか、こっちには一向に興味を示さずに忍び歩いて行くな、と思ったら、狩りの途中だったようだ。狙うは鳥。身を低く構え、すり足の様に地を滑り、一気に走り出して飛び掛かる!っと、まぁ、残念ながら獲物は取り逃がしたようだが、猫の狩りを初めてまともに見たので、紅葉とは関係ないところで面白かった。

京都にての地図(googleマップ)

 

浄住寺

 次に訪れたのは浄住寺。
 正直、今回訪れようとするまですっかり忘れ去っていた寺院。知らないなぁと思っていたら「京都にての神社仏閣」でちゃんと記載していた、というオチ。京都でも数少ない黄檗宗の寺院。
 すると、ここは門前から鮮やかな紅葉を見ることができた。本堂へと続く階段の頭上を、色は薄いが鮮やかな紅葉が覆いかぶさり、なかなか良い雰囲気の景色が続いていた。
 広くはない境内を一回りして帰ろうとしたところ、門前よりノルディックウォーキングというのだろうか、ポールを手にしたおば様方の集団が現れ、口々に「綺麗~」と。そして、その中の一人の方が発した言葉が「鈴虫寺(華厳寺)に行っている人も、こっちにくればいいのに」(※つまり「あんなに並ばなくてもこっちで綺麗な紅葉が見れるのに」と解釈)。これには華厳寺から逃げ出した人間としては同感であった。

京都にての地図(googleマップ)

 

葉室御霊神社

 浄住寺を南下した場所にある葉室御霊神社。
 とりあえず一枚。

 

樫本神社

 葉室御霊神社から国道9号線を南西へ。
 洛西ニュータウンを抜け、自転車をこぎ続け、ようやく辿り着いた樫本神社。

 

大原野神社

 目印としていた樫本神社から北東へ坂道を数分。大原野神社に辿り着いた。
 さすがに紅葉でも有名な神社だけあって、いたる所で鮮やかな朱に染まった木々を見ることができた。中でも見どころは参道の彩りと、鯉沢の池と紅葉との景色だろうか。
 ただ、いかんせん受ける印象としては無難過ぎる様な。無難であることが悪い訳ではない。どちらかといえば良いことだ。なのに・・・いまいち印象としては強くない。予想を超えていれば「おお!」と感嘆するだろうし、予想を下回っていれば「なんだ・・・」と愚痴も出よう。けれど紅葉に関していえば、もちろん時期の問題もあるのかもしれないが――実に無難んだ、大原野神社。個人的な印象でいえば密度が足りないとでもいえばいいのだろうか。境内まんべんなく紅葉を眺めることができるのだが、まんべん過ぎると言おうか。
 繰り返すが、無難なことは悪いことではない。ただ、一人の人間の好みに合わなかっただけだ。
 大原野神社は優秀な紅葉スポットであることに間違いはない。

大原野神社ホームページ⇒http://oharano-jinja.jp/

 

正法寺

 大原野神社の鳥居を出た道路の反対側にあるのが正法寺。
 折角なので覗いてみたら、鮮やかに色付いた紅葉が。

 

勝持寺

 正法寺を出て、更に北東へ登っていき、勝持寺へ。
 勝持寺といえば西行桜が有名で、花の寺として知られるが、紅葉の情報は知らぬままに、ただ大原野神社に近いからという理由で訪れてみた。
 ところが、まぁ見事な紅葉だった。大原野神社の紅葉を「密度がない」と書いたが、勝持寺の紅葉には密度があった。重厚な紅葉。覆いかぶさるような紅葉。なるほど、花の寺は花ばかりではない、紅葉の寺でもあったか。

 見応え充分。パシャ、パシャとデジカメで撮影していたら・・・デジカメの電池がなくなった。しまった!
 慌てて予備の電池を・・・古い電池だから、大丈夫かなぁ・・・って、駄目じゃん!
 境内の紅葉をまだ全部撮っていないのに。。。
 花は咲いていないとはいえ、せめて西行桜を一枚撮影したかったのに。。。
 まさかのデジカメ電池切れで、今回の紅葉見物は強制終了。。。
 ちゃんと、電池をフル充電しなかった自分を責めるばかり。。。

京都にての地図(googleマップ)

 

 本来は、この後に金蔵寺まで足を延ばすつもりで・・・というか、金蔵寺を今回のメインと捉えていた部分もあったのだが、まさかのデジカメ電池切れによる途中リタイア。
 と言いつつ、正直言うと、はりきってレンタサイクルのママチャリで阪急桂駅を出発した訳だが・・・脚力の限界!勝持寺から帰る頃には、もう膝がケタケタと笑っちゃって、笑っちゃって。時間的にも夕暮れ迫り・・・なんだかんだと、ここまでだったのだろう、と自分を慰める。

 そんな予想外(いや、必然か?)、な展開で終わってしまった今回の紅葉見物。
 勝手にランキング1位は勝持寺。訪れた時間にもよるだろうが、紅葉の見事さに比べたら観光客も常識的な数で、自分のペースで紅葉見物をすることができた。やはり、いくら紅葉が見事でも、人波に揉まれながらというのは楽しみも半減してしまう。ここまで足を延ばした甲斐があったというものだ。
 2位は大原野神社。無難は偉大です。
 3位は地蔵院で。浄住寺と迷うところなのだが、竹林との合わせ技で地蔵院の勝利!

 いや、しかし疲れた。
 年齢と運動不足を痛感する紅葉見物となった。
 あと「備え」は大切ってことも。。。

 関連記事:「2012紅葉見物(2)

(2012/12/02)

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