「2017紅葉見物」

 

 今年は残暑が短かったように感じる。そして寒気は季節に伴いしっかりと訪れ、平年並みに葉を紅く染めていく。
 ああ、なんだか「平年並み」って言葉、落着くわぁ~。
 紅葉専門サイトを見ても「前後しないかな?」なんて不安を抱かずに計画を立てられる安心感。
 ただ・・・天候ばかりは数日前からドキドキで天気予報と睨めっこの緊張感。
 目的地の色付き具合を確かめ、頃合いを見計らい京都へ向かう。

 11月某日。曇り時々雨。

 残念。晴天の紅葉とはいかなかった。まぁ、こればかりは仕方がない。
 それでも大丈夫。紅葉の色付きは問題ないだろうという安心感を胸に気分良く――とりあえず腹ごしらえ。
 今年の桜見物と同様、まずは丸太町十二段家で「すずしろ」の一段上のメニュー「水菜」を頂く。美味しかった。

京都御苑

 丸太町十二段家起点のお決まりのコースで、まず訪れたのは京都御苑。
 さて、京都御苑の色付きはというと、広い苑内に生育する樹木は約5万本といわれているだけあって、既に枯れ葉を落としている樹木もあれば、丁度見頃を迎えているものがあったり、未だ青い葉を多く残すものがあったりと、苑内全てが一斉に色付くということはなさそうで、少し物足りなさを感じつつも、それだけ色付きに時間差が発生しているということは、長い期間、苑内のどこかしらでは紅葉が楽しめるということでもあるので、訪れて色付き皆無、という大きな失敗は避けられそうだ。
 ただ欲を言えば、そのように長期間に渡っての景色の移ろいがあるのであれば「ああ、こっちは終ったけど、今度はこっちが色付き始めた」と日々の変化を楽しむことができたなら、京都御苑での紅葉鑑賞としてはベストなのかもしれない。
 なので観光向け、というよりも、やはり地元の方々が日々訪れるに適した紅葉ポイントと言えるかもしれない。

京都御苑ホームページ⇒https://www.env.go.jp/garden/kyotogyoen/

 

 京都御苑を出て今出川通りを一路西へと向かう。
 途中、白峰神宮首途八幡宮を覗くが、紅葉の気配はなし。

 老松を訪れ「栗しぼり」を購入。この時期恒例の一品。

北野天満宮

 次に訪れたのは北野天満宮。
 東門から入り、手水舎の裏手側、竈社前の紅葉が綺麗に色付いていた。
 ほか境内にて、一部の銀杏の木に黄色の色付きはあったが、特筆すべき色合いは見当たらず。

北野天満宮(御土居)

 そして今回のメイン。北野天満宮内にある御土居。
 桃山時代に豊臣秀吉が洛中洛外の境界、水防の為に築いた土塁「御土居」の一部が残っており、そこに現在、約300本の紅葉を有するという。
 入苑料大人700円、子供350円で、茶菓子付き。

 さすがに紅葉の名所とあって人が多かった。
 事前に紅葉のサイトで「見頃」と確認。現地でも入口前に「見頃」とあったのだが、いざ入苑してみると、どうもまだ早かったようで色付きは疎らだった。なので約300本の紅葉というボリュームを感じることもできずに全体的に感動するほどのものはなかった。
 かつ、この時は天候も悪かった。この日は一日中曇ったり、晴れ間が出たりと目まぐるしかったのだが、丁度御土居を散策している途中に通り雨に合い、紅葉を楽しむどころではなくなってしまった。そして退苑する頃合いに、また晴れ間が覗くといった状態で実にタイミングが悪かった。

 なお、提供される茶菓子は千利休が考案したと伝わる麩の焼を再現した菓子だそうで、その名も「北野大茶湯」。作っているは直前に寄ってきた老松だそうだ。
 お茶はポットからセルフサービスで、人が多いので忙しなく食べて終った印象。残念ながら「大茶湯」をイメージするような風情は感じられなかった。

 疎らな色付き具合、及び悪天候もあり、リベンジという意味での再訪はあり得るだろうが、満足したからいつの日か再び、という気分にはならなかった。

北野天満宮ホームページ⇒http://www.kitanotenmangu.or.jp/

 今年の紅葉見物は訪問場所が少ない為、恒例?のランキング発表はなし。
 感想としては京都御苑は外さないな、と。
 一方、北野天満宮の御土居は観光客の多さの割りには、それに見合った感動はなかったなと。もちろん、環境とタイミングによる印象の善し悪しがあるので、それらが整えば感動を味わえるのかもしれないが、少なくとも今回の訪問では感情が動く程のものを味わうことはできなかった。ただし、これはあくまでも期待していた分の裏返しとしての厳しめの判定、ということでご理解頂きたい。

 「平年並み」という言葉に感じていた安心感は脆くも崩れ去り、天候は悪いし、タイミングもいまいちで。
 自然相手の鑑賞イベントに油断は禁物、と思い知らされる一日となった。

(2017/12/03)

京都にてのあれこれへ トップページへ