「2014紅葉見物」

 

 今年も紅葉見物は11月中旬某日。いい頃合いだと思うんだけどな~、ということで一路京都へと向かった。
 予定したコースは山科。2013年に桜見物で辿った道順とほぼ同じ。確かあの時は無謀な計画過ぎてくたくたになった記憶があったのだが・・・
 今回は上醍醐へ登る予定を立てていたので、教訓を糧とし途中では無難に電車を利用することにした。

 

毘沙門堂

 まず訪れたのは毘沙門堂。
 これまで桜の時期に2度訪れたことがあったのだが、紅葉の季節では初めて。
 写真上部は仁王門前の様子。高い木々が多く、色付いた紅葉を見上げるように階段へ向かい、階段を登り切って仁王門前に立つと、今度は目線に木々の葉が群生し、厚みあるグラデーションを見せる。
 仁王門を潜って本堂に向かい、その右手にある弁天堂へ回ると、こちらも程よ良く色付いていた(写真下部)。まだまだ青い葉も残るが、燃える様な紅葉も良いが、色とりどりな情景もまた良いものだ。
 そして毘沙門堂の紅葉といえば、以前JR東海の「そうだ京都に行こう」のポスターにも採用された勅使門前の階段の光景が有名だが、訪れた日はまだ時期が早かったようで、割合として色付きが浅い葉が多かった。
(※訪問した数日後の11/23付の毘沙門堂HPでは、見事に色付いた画像がアップされていた。うん、やはりまだ早かったか)

 毘沙門堂の紅葉の見所は、上記した3ヶ所となるだろうか。
 その中で、今回訪れた中での一番の見所は弁天堂周辺だった。もちろん勅使門前が最盛期を迎えると主役の座は明け渡さなければならないだろうが、多彩な情景が目を楽しませてくれた。

毘沙門堂ホームページ⇒http://www.bishamon.or.jp/

 

山科聖天

 次に訪れたのは山科聖天こと双林院。
 毘沙門堂には紅葉の名所とあって多くの観光客がおとずれていたが、こちらまで回ってくる方はまばらのようで。先客と入れ違いで境内に一人で楽しめた。
 こちらもまだ最盛期には早めだが、狭い境内全体に色付き始めている樹木は多く、最盛期には見事な色付きを見せるのではないだろうか。
 上記したように、毘沙門堂からこちらまで足を伸ばす人の数は限られているだろうから、毘沙門堂で人の波に揉まれて落ち着きなく紅葉を愛でるよりも、規模は劣ってもゆっくりと紅葉を愛でたい人にとってはこちらの方が気に入るかもしれない。
 毘沙門堂からはほんのちょっとなので、足を延ばしてみてはいかがだろうか。

京都にての地図(googleマップ)

 

諸羽神社

 毘沙門堂、双林院を後にして山科駅に戻る途中、琵琶湖疏水沿いに寄り道をして訪れたのは諸羽神社。
 こちらは本当にまだまだ時期が早かったようだ。枝先が部分的に色付いている程度。それと、余り葉が色づくような広葉樹が多くないように見受けられた。なので、時期を迎えたとしても、見応えという意味ではいまいちなのではないだろうか。

京都にての地図(googleマップ)

 

勧修寺

 今回は大人しく地下鉄東西線に乗って山科から小野へ。
 次に訪れたのは勧修寺。
 春の頃には門前まで桜が参道を飾っていたが、訪れた頃には桜の葉は色付き、すでにほとんどが散ってしまっていて早くも冬支度を整えたかのようだった。
 やはり樹木の種類、環境によって色付きはまちまちなのだなぁ、という感想。

 さて、拝観料を支払って中門を抜けて境内へ。桜の時期にも思ったことだが、コンスタントに紅葉を楽しめる印象だ。それだけ整備されているということだろうが、逆にいうと整備され過ぎているという印象を受けなくはない。これは人それぞれの好みにもよるだろうが、余りにも整備されている様子が伺われると、個人的には魅力を減じてしまう。もっと野趣に溢れ、迫るようなもの、を欲してしまう。まぁ、だったら普通に山の中へ行けって自然の紅葉を愛でろ、という話になるが、そこは個人的な我が儘で御座います。
 そういう意味では、観音堂横の池辺に生えた紅葉が個人的には一番の見所のように思えた(写真下部)

 また一つの趣向としては、本堂の正面にガラス戸が張られているのだが、そのガラス戸に前面の紅葉が写り込み、別視点を得た珍しい眺めが楽しくもある。

京都にての地図(googleマップ)

 

吉利倶八幡宮

 勧修寺の門前を右に出て路地を行くと、道を挟んだ先に吉利倶八幡宮がある。
 鳥居を潜って社殿へ。
 紅葉はちらほらと。
 ただ、時期にもよるのだろうが、そもそも紅葉する樹木が少ないように思えた。 

京都にての地図(googleマップ)

 

随心院

 次に訪れたのは随心院。
 総門から入って見渡したところ、整備された境内に色付きはほとんどなく、僅かに薬医門の傍らに大きな銀杏の木が黄色に色付いているばかりで、これだけかな?と思ったのだが庫裏へ向かうと、その正面に陽を受けた紅葉が鮮やかに色付いていた(写真下部)
 拝観料を支払い本堂を目指す。すると、本堂前の庭園に程好く色付いた紅葉をみることができた(写真上部)
 時期がまだ早い為に全体的な色付きには至っていないが、その分、枝先の紅と、枝元の緑の葉のコントラストが立体感を演出し、能動的な情景を生み出している。樹木全体が色付いた圧倒的な鮮やかさも良いが、こういう動きのある情景も個人的には好みだ。

随心院ホームページ⇒http://www.zuishinin.or.jp/

 

醍醐寺

 次に訪れたのは醍醐寺。
 醍醐寺といえば桜が有名だが、紅葉の頃はどうなのだろうか。まぁ、木はいっぱい生えているからそれなりに色付いてはいるんだろうな、程度の期待でやってきた。
 総門から入って、まず三宝院を訪れてみた。三宝院といえば庭園が有名だが、見たところ印象的な紅葉の姿はなかった。
 仁王門への道を歩いて行くと左右は桜の木なのだが、どうも桜の葉が落ちるのは早いらしい。すでに落葉した木がほとんどだ。
 仁王門から金堂へ。それから、五重の塔へ。ちらほらと紅葉した樹木(写真上部)は目にするのだが、見応えを覚えるような色彩の連なりは見られない。やはり桜程、紅葉は見応えはないのかな?と思いつつ更に奥へ。
 通称下醍醐では最奥に弁天堂があり、その傍らには池があるのだが、そこに辿り着いた途端、見事な光景に出合った(写真下部)池の周囲に色付いた紅葉が並び、その情景が池の水面に映り込んで色彩を増殖させていた。幸いに陽の光もあってより鮮やかに。
 圧倒的に下醍醐の紅葉見どころナンバーワン。実に鮮やかだった。

 

上醍醐

 さて、今回は当初の予定通りに上醍醐へ。
 桜見物の際には時間切れで諦めたが、今回こそは、と。

 弁天堂を抜けて、その先へ。
 女人堂で上醍醐の入山料を支払い、いざ山道へ。その入り口に「およそ1時間」の文字が。更に登りだしてすぐに下山してきたおじさんに「今から登の?大丈夫かなぁ~」と時間も押し迫っていた為に心配され。
 「なめて貰っちゃいけませんよ!」と結構な勢いで登り始めたのだが・・・しんどかった。とても、しんどかった。日頃から歩いてはいるのだが、山道はさすがに厳しい。息も絶え絶え、この季節なのに汗はダクダク。腹は痛くなってくるし。でも気合。ちょっとしたハイテンション。これが世にいうクライマーズハイってやつか?などと馬鹿になりつつ、阿呆になりつつ、あえぎあえぎ辿り着きました上醍醐。30分で登り切ってやったわ!
 辿り着いた先には醍醐水が湧き出でて――ああ、美味しい。これぞ醍醐味って奴か。色んな意味で。。。

 で、紅葉。
 部分的に紅葉は見られたが、山上だから全山が色付いていて凄ぇ~、ってことにはなっていなかった。
 なので、紅葉を目的にした場合、労力に見合う光景は待っていないかもしれない。
 ただ、単純に眺めはいい。紅葉関係なく、眺めはいい。だから、紅葉をプラスしたら、なおいい。

醍醐寺ホームページ⇒http://www.daigoji.or.jp/

 

一言寺

 上醍醐から下山し、最後の目的地へ。
 すでに陽は没しようとし、間に合うか!
 しかしだ、平坦な道って楽っ!

 最後にやってきたのは醍醐寺の塔頭でもある金剛王院、通称一言寺。
 本堂を正面に見た右手に小さな池があるのだが、その周囲に色付いた紅葉があった。ここでも色付いているのは枝先近くで、時期が早いのが伺えた。
 紅葉を伺わせる樹木は狭い境内にそれなりにあり、これらが全て色付けば境内の狭さが却って密度において色彩の華やかさを演出するのではないだろうか、と思えた。
 醍醐寺からも少し距離があり、訪れる人も少ないだろう。そういう意味では、ちょっとした穴場候補となるかもしれない。

京都にての地図(googleマップ)

 

 今年の色付き具合も、去年引き続き時期が早かったようだ。毘沙門堂のところで書いたが、あと数日。あと数日後が見頃だったようで、時期を合わせるっていうのは、やはりなかなか難しい。
 そんな中でも、美しい彩りを見せてくれた今年の勝手にランキング!
 一番印象深かったのは、醍醐寺(下醍醐)の弁天堂周辺。池の水面に紅葉が映る演出といい、紅葉が溢れておりました。
 2位は毘沙門堂。訪れた時は時期尚早で余り強い印象が残らなかったのだが、後日HPにアップされていた勅使門前の階段の紅葉はやはり素晴らしい。全体的にも、もっと紅葉している筈で、さすがに紅葉の名所といったところか。
 3位は勧修寺。整備され過ぎている感は強いのだが、コンスタントに紅葉を楽しめるというのは安定感がある。

 番外。上醍醐。ってか、上醍醐まで登った自分。よく頑張った。。。

 

(2014/11/26)

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