<丹波黒豆きなこロール>

<店舗名:Patisserie Hiroya>
<価格(税込):610円>

 

 丹波黒豆。その響きを聞いただけで豆好きにはたまらない。
 ところで、そもそも丹波黒豆の「丹波」ってどの地域だったかな?と曖昧な認識を改めようと調べてみた。一応、京都を扱うサイトなので、その辺りは注意したいと思ったのだが。。。
 そもそも丹波という地名は・・・と、歴史を一から辿ろうとするとややこしくなるので、現在でいうところの兵庫県(篠山市・丹波市)と京都府(亀岡市、南丹市、船井郡京丹波町、綾部市、福知山市)に跨る地域の旧国名が「丹波」ということになる。
 そして丹波黒豆で調べてみると・・・ややこしい。近年の歴史を簡単に纏めてしまうと、昭和16年に兵庫県農事試験場が「丹波黒」と命名した後、昭和56年に京都府農業総合研究所が京都府産の丹波黒から優良種子を選抜し「新丹波黒」と命名。一方の兵庫県でも平成元年に兵庫県北部農業技術センターが波部黒から優良種子を選抜し、「兵系黒3号」と命名。これらを総称して「丹波黒豆」と呼ばれているようだ。
 では、今回紹介する『丹波黒豆きなこロール』の丹波黒豆の生産地は・・・
 きっと京都であろう。京都であると言っておくれ。京都と仮定して語っていく。まっ、例え違っていても丹波黒豆に間違いはない筈だから、良しとしよう。して下さい。。。

 見た目。生地にまぶされた黒い点が黒豆の皮と思われ、特徴的。
 香りは・・・うん、きな粉の香りがしっかりとする。後は生地(小麦)の香り。
 では、頂く。
 クリームを包んでいる生地の食感はパサつきを気にすることはないが、しっとり感がある訳でない。普通に軽いスポンジ生地といった感想。一方でクリームは生クリームではなくバタークリームとなっているので、最初の舌触りが固いが、やがて口内の体温に反応するように滑らかに溶けていく。バタークリームのこの食感は食感で好きなところ。
 そして風味。丹波黒豆の特長は大粒であること、煮崩れしにくいところ、ふっくらとした食感、味が濃いところだそうだ。今回の一品ではきな粉に加工しているので、関わってくる特長としては味の濃さだろうか。
 てな訳で、うん、しっかりとしたきな粉の風味が漂っている。他の大豆きな粉と比較している訳ではないので、特長が活かされた一品になっているかどうかは判断しにくいが、きなこロールという名称らしい風味を味わうことができる。それに混じって、お酒の風味がするので原材料を見て見ると、ラム酒が使われているようだ。
 きな粉とラム酒の風味が特徴的なロールケーキとなっている。うん、美味しい。

 『シフォンロール 抹茶』で行った手法を今回もしてみる。
 ネットで「京都 ロールケーキ きな粉」で検索してみると、「京都 ロールケーキ 抹茶」で検索した時と比べると表示される商品数が意外と少ない。以前に『きな粉玉』を紹介した吉祥菓寮や、『きなな』を紹介した祗園きななの、きな粉を使用したロールケーキが表示される中、三番手として今回紹介した『丹波黒豆きな粉ロール』が表示された。
 こうして見ると、抹茶では複数の抹茶を取り扱う店舗、もしくは洋菓子店双方からのアプローチがみられたが、きな粉に関しては、今回調べた範囲では、きな粉をメインに扱う側として吉祥菓寮と祗園きなながあり、洋菓子店から唯一アプローチしているのが、今回のPatisserie Hiroyaぐらいだった。
 試しに、検索キーワードから「京都」を外してみると・・・いっぱい出てきた。
 この結果から「京都らしさ」というイメージにおいて、京都ときな粉の関連性は決して強いものではないことがわかる。
 当初「きな粉のロールケーキなんて京都らしいじゃないか!」と飛び付いたのだが・・・その発想を冷静に分析すれば、和菓子と京都のイメージ的な繋がりを安易に結びつけた結果だという答えに到る。和菓子らしい素材=京都らしさ、にはならない。
 では、今回の『丹波黒豆きな粉ロール』を京都らしい一品とすることはできないのか?
 そうだ、まず「丹波黒豆」で地域を絞ってしまおう。そうすれば京都府と兵庫県に絞られる。その上で「和菓子」のイメージを強く抱くのはどちらかと比較するならば・・・京都、でしょう。
 結論。『丹波黒豆きな粉ロール』は京都らしい一品だ!
 そういうことで良しとしよう。して下さい。。。

 Patisserie Hiroyaは観光客相手というよりも地域に根差した洋菓子屋さんといった印象を抱いた。
 その中でも『丹波黒豆きな粉ロール』は京都の町の洋菓子屋さんの、地元の特産を活かした一品という印象を抱いた。
 ん?屁理屈をこねくり回す必要もなく、それだけで充分「京都らしい」か。。。

(2018/06/07)

Patisserie Hiroyaホームページ⇒http://www.kyoto-hiroya.co.jp/

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