<八方焼/やきいも>
<店舗名:小松屋>
<価格(税込):八方焼210円/やきいも180円>
六方焼というお菓子がある。
名前からすると六角形なのかな?というイメージが浮かぶが、立方体の六面を焼き上げていることから六方焼というらしい。
『方角』というと二次元に考えがちだが三次元な考え方なのね。
そして八方焼というお菓子がある。見た目は六角形。つまり八面体だから八方焼。うーん、こっちの方が六方焼というネーミングがしっくりくるのは気のせいか。
などと思っていたら、
『広く大衆の中に生きてきた六方焼に更に改良を加え、特に皮の風味を生かし、餡との調和に細心の苦心を払って今日に至ったもの』――小松屋ホームページより
との事。なるほど、きっと形状もより『六方』焼らしさを追求したのに違いない。・・・なんて思ってみたり、みなかったり。。。
ちなみに、六角形は亀の甲羅にも似るから、縁起物としても重宝されてきたそうな。
そんな訳?で、今回は小松屋の八方焼とやきいもをご紹介。
まずは八方焼き。
手にした生地の感触はしっとりとしている。
香りは、小麦粉と卵の匂い。
割ってみると、薄皮の中に密度高くぎっしりと漉し餡が詰まっている。食べごたえありそう。
では一口。
うん、やっぱりしっかりとした食べごたえ。どこを食べてもぎっしりと餡が詰まっている。
風味は至ってシンプル。皮の香ばしさに、漉し餡の小豆の風味と甘さがしっかりと出ている。
シンプル故に、飽きのこない風味といったところか。
至って普通に美味しい。
次にやきいも。
その名が示す通り、見た目は焼き芋。
見た目は鍵善良房の『おひもさん』を思い出す。形状はどちらも見事に焼き芋を演出している。
そして小松屋のやきいもは、焼かれて乾燥した芋の皮の表現が見事。触った感触も、硬めに焼かれていて本物に似せられている。
ゴマの乗った切断面も、恐らく卵黄を塗って焼くことで表現しているようだ。
香りはニッキが強い。
中に詰まっているのは黄味餡で、こちらもぎっしりと詰まっている。
餡の甘味と、黄味餡独特の風味。それと、ここでもニッキの存在感が強く出ている。なので、ニッキが苦手な人は好まないかもしれない。
全体的にモソモソしているので、好みの差はあるだろうが、本来であればマイナスに気になってしまいそうな部分ではあるが、焼き芋というコンセプトがある上では、リアリティを追求した職人の個性を感じる。
美味しくも、面白い一品。
とてもシンプルだけれど、その中に秘められた追求の心。
職人さんのいぶし銀の心意気を見るようだ。